小澤征爾さん 兄弟子の「頂点を目指せ」を実行 並外れた行動力で「世界のオザワ」の扉を開く

2024年02月10日 04:30

芸能

小澤征爾さん 兄弟子の「頂点を目指せ」を実行 並外れた行動力で「世界のオザワ」の扉を開く
76年、(左から)小澤征爾さん、山本直純さん Photo By スポニチ
 【評伝】満州で生まれた小澤さんは陸軍大将・板垣征四郎の「征」、関東軍参謀・石原莞爾の「爾」に由来して「征爾」と名付けられた。5歳時に母親からクリスマスプレゼントでもらったアコーディオンに触れたことが音楽と出合うきっかけだった。
 日本へ帰国後10歳でピアノに触れたが、15、16歳の時にラグビーの試合で両手の指をケガ。「その時に見に行ったオーケストラで指揮者に魅了された」と人生の転機を明かしていた。そして生涯の師にもなったチェロ奏者の斎藤秀雄に弟子入り。その指揮教室で兄弟子の作曲家でもある山本直純さんと出会う。

 山本さんは小澤さんに対して音楽をピラミッドに例えて「自分は底辺を広げる仕事をするから、小澤は欧州へ行って頂点を目指せ」と告げた。この言葉が「世界のオザワ」の始まりだった。

 小澤さんは1959年にスクーターを相棒に貨物船に乗り込み、約2カ月かけて渡仏し、腕試しに受けた国際指揮者コンクールを制覇。実は応募締め切りを過ぎていたが、関係者に頼み込み強引に参加しての優勝だった。この並外れた行動力の原点には父親の背中があった。歯科医の父親は満州在住の日本人のリーダー格として、現地の人たちとの交流を図った。

 海外でのコンクールや音楽祭で結果を残していくうちに、20世紀後半を代表する指揮者のカラヤン、バーンスタインの2人に師事した小澤さん。こうして「世界のオザワ」の扉が開かれた。

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