北村弁護士「セクシー田中さん」問題解説 テレビ局・出版社は「法的には責任がない」その理由は?

2024年02月21日 09:41

芸能

北村弁護士「セクシー田中さん」問題解説 テレビ局・出版社は「法的には責任がない」その理由は?
北村晴男弁護士 Photo By スポニチ
 弁護士の北村晴男氏(67)が、21日までに公式YouTubeチャンネルを更新。昨年10月期に日本テレビでドラマ化された漫画「セクシー田中さん」の芦原妃名子さん(享年50)が急死した問題について、「テレビ局や出版社などの責任」を法的立場から解説した。
 芦原妃名子さんの訃報は1月29日に伝えられた。芦原さんは1月26日に更新した自身のXで、脚本をめぐり局側と折り合いがつかず、自らが9、10話の脚本を書くことになったとして視聴者に向けて謝罪。当初提示していた「漫画に忠実に描く」などの条件が反故になっていたと明かしていた。

 この件に関し、北村氏は今月14日に公開した「前編」動画の中で、原作者には「著作者人格権」があり、その中の「同一性保持権」=著作物及びその題号につき著作者(著作権者ではないことに注意)の意に反して変更、切除その他の改変を禁止できる権利があるため、原作者の同意なしには句読点ひとつも変えることはできないと説明。だが芦原さんの主張は反故にされ、それでもドラマをよりよいものにしようと、大変なストレスを抱えながらも指示を出し続けていたと推察した。

 新たに公開した動画では、「出版社・テレビ局 責任はどこ?」をテーマに解説。まず、「セクシー田中さん」問題について「私はクリエイターでないので自分の経験を言うのは大変恥ずかしいのですが…」と前置きした上で、「ある番組の中で、自分が大切にしていた高校時代の思い出、野球部で、へたくそなのに甲子園を真剣に目指した思い出が再現ドラマになった」という過去のケースを明かした。

 北村氏は最後の夏、地方大会の準々決勝で、最終打席で「大変悔やまれる」センターライナーで終わった思い出があると説明。このエピソードを、テレビ局のスタッフから「どうしても再現ドラマにしたい」と提案があったという。

 再現ドラマは「小学生が見てもすぐ分かるようなものにしたい」ということで、北村氏の最後の座席は「見逃し三振」に変更されていた。

 これについて「大変傷つきました。自分の人生で大切にしていたものを、勝手に壊されたような気持ちでした」と吐露。この一件を「セクシー田中さん」問題を受け思い出し、「自分が大切にしていたものを壊される悔しさ」を吐露した上で、「原作者と脚本家の橋渡しになる出版社とテレビ局には事実をそのまま伝える責任はないのか」という点を法的な立場から見ると「私の感覚では、法的な意味の責任はないと思っています」と指摘。「法的には、原作者がノーと言ったら作らない、イエスと言うまで脚本を変えていく。法的には、そういう責任があります」と説明した。

 「もちろんそのまま伝えても問題ないし、それがベストだと思いますが、しかし間に入った人の立場を考えると、さまざまな思いがあるはずなんです」と推察。「例え話」として、「今回の件ではない」と強調した上で、「例えば、大変能力が高い脚本家にお任せするとして、事前にあれこれ提示してしまうと、いい脚本が出てこないから、まずは書いてもらおうということもあり得る」と説明。「結果として、いい仕事をしたい。そのために、何でも伝えればいいという問題ではないと考える、そういうこともあり得る」と、脚本家と原作者の間に入ったテレビ局や出版社の人々の思いを推測し「脚本家に能力を最大限発揮してもらって、いったん出て来たものを原作者に渡して修正してもらった方がいいんだ…と考えることも無理もないケースもある」とっした。

 このやり方では「双方にストレスが溜まる」とした上で「結果として原作者のOKが出ました、脚本家の能力も発揮された、結果、ドラマは成功した…という風にしたい」と、間に入った人としては、このような思いもあるのではと指摘。「そういうケースもある…ということは理解してもいいのかな」とうなずいた。

 つまり北村氏によると、「間に入った人=テレビ局・出版社」の責任は、「原作者のOKをとる。OKがなければださない。絶対に放送しない。これが、法的な責任」だという。「どう伝えるかは、結果としていいものを作るために考える…ということになります」として、心情は別として、法的に責任は問えないと解説した。

 この動画には「北村先生、より良いドラマを作りたいという視点であれば先生のご意見はごもっともで、間に立つ人がコントロールして原作者と脚本家の双方を揉んで妥協点、落とし所をを決めていくということでも良いでしょうが…」「あくまで原作を尊重し、原作者との協力体制を維持しつつのドラマ制作が大原則なはず」「原作ファンからすると、原作の世界観やキャラなんかは変えちゃ行けないものであって、当たり前のお願いをしなきゃいけない事がそもそも前提から違いすぎて理解不能です…」「芦原さんの場合も、一応はチェックして書き直す権利は許されていましたが、相当の心労、ストレスがあったはずです。もしかしたら今回は断っておけばよかったと後悔していたかもしれません。日テレも小学館も芦原さんの立場、気持ちを理解して大切にしていたら悲しい結末はなかったはずです」「北村先生自らの経験談はとても共感できるものでした。視聴者のためにわかりやすさを優先することは大切ですが、それが本来の意味とは変わってしまっては、それは全くの別物語になってしまうからです」と、さまざまなコメントが寄せられた。

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