「虎に翼」裁判官編開幕 「これまでと同じように正統派の朝ドラを」

2024年06月01日 08:15

芸能

「虎に翼」裁判官編開幕 「これまでと同じように正統派の朝ドラを」
連続テレビ小説「虎に翼」で、裁判官を志す寅子(伊藤沙莉)(C)NHK Photo By 提供写真
 【牧 元一の孤人焦点】俳優の伊藤沙莉(30)が主演するNHK連続テレビ小説「虎に翼」は6月3日の放送で「裁判官編」の幕が開く。
 制作統括の尾崎裕和氏は「新しいスタート。寅子(伊藤沙莉)が裁判官になる過程も含めた『裁判官編』です。沢村一樹さんが演じる久藤、滝藤賢一さんが演じる多岐川ら新たな法曹界の面々と寅子がどう対峙し、どう戦って乗り越えて行くか…。ある種のリーガル・エンターテインメントとして描いていきます」と語る。

 4月の放送開始から2カ月。これまでの放送を振りかえると、寅子の主観が混ざる語り(女優・尾野真千子が担当)など斬新さを感じさせながらも、作品全体としては奇をてらったところがなく正統派の印象を受ける。

 尾崎氏は「企画の段階で、奇をてらったアイデアではなく、連続テレビ小説として半年間視聴者の皆さまに見て頂ける題材、テーマを考えました。三淵嘉子さん(日本初の女性弁護士で、のちに裁判官になった)という魅力的な人物に出会い、脚本の吉田恵里香さんとともに、三淵さんをモデルにした物語をどのようにつむいでいくかということを考えました」と振りかえる。

 連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」は大河ドラマ、紅白歌合戦と並ぶNHKの看板で常に視聴率の高低を取りざたされるが、「虎に翼」は視聴率を意識したような物語の展開やキャスティングの色が薄い。

 尾崎氏は「視聴率は当然意識しますが、視聴率を取るために物語やキャスティングを考えることはありません。物語に極端な展開を求めるのではなく、吉田さんが描きたい内容やテーマを膨らませる方向で作っています。キャスティングに関しては、その物語をつむいでいく上で必要な方々にお願いしています。良い作品、クオリティーの高い作品を作れば、皆さまに見て頂けると信じて作り続けています」と明かす。

 朝ドラは1961年の「娘と私」でスタートしてから63年。最近も「舞いあがれ!」(2022年)、「らんまん」(23年)、「ブギウギ」(同年)と人気作を生み出してきた。

 尾崎氏は「いつも朝ドラを見ているファンの方々が楽しめるものを作ろうという考えがベースにあります。新規のものを作るというより、朝ドラ的なものを突き詰めた上で、それが吉田さんの作家性と相まって、さまざまな問いかけが生まれるのではないかと考えながら作っています。朝ドラのファンの方々、今回新たに見てくださっている方々に、その結果として朝ドラの違う一面も見て頂けたらいいなと思っています」と話す。

 「違う一面」の源になるのが吉田さん脚本だ。

 尾崎氏は「吉田さんはゼロベースで脚本を考えています。例えば、寅子の幼少期や出産シーン、玉音放送のシーンを描きませんでした。この作品で描こうとしていることやテーマに何が必要なのかを考え、取捨選択して物語を作り上げているからだと思います。この作品では女性の生理について描きましたが、女性の人生、キャリアを描いていく上で自然だと思える脚本になっています。私たちはあまり『これを入れた方がいいのでは。これは入れない方がいいのでは』という話はしていません。吉田さんから上がってきた脚本で、確かにそれはしっかり描くべきだというものを描いています」と語る。

 裁判官編以降、作品の色合いに変化は生じるのか。

 「これまでと同じように正統派の朝ドラをお見せできると思います」と尾崎氏は答えた。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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