【ドラフト会議】星槎道都大の153キロ左腕・滝田 広島3位指名に天国の母から「おめでとう」

2023年10月26日 23:47

野球

【ドラフト会議】星槎道都大の153キロ左腕・滝田 広島3位指名に天国の母から「おめでとう」
広島3位指名され、母・美智子さんの遺影を手にガッツポーズする星槎道都大・滝田(撮影・高橋 茂夫) Photo By スポニチ
 プロ野球のドラフト会議では北海道内から育成選手を含めて、3選手の名前が呼ばれた。最速153キロを誇る星槎道都大の滝田一希投手(4年)は広島からドラフト3位で指名され、昨年5月に天国へ旅だった最愛の母・美智子さんとともに喜びをかみしめた。 【指名選手一覧
 おめでとう――。久しぶりに聞いた懐かしい声に、滝田の涙が止まらなかった。母の遺影とともに待ち続けて約1時間20分。自らの名前が呼ばれると、どよめく会場の中心で天井を見上げた。

 「呼ばれた瞬間(母の)“おめでとう”の言葉が胸に響いた。ありがとうと伝えたい」

 昨年5月6日、練習から帰宅後に電話が鳴った。女手一つで6人きょうだいを育ててくれた母・美智子さんの訃報だった。「会うまで信じない」と、北広島市内の寮まで迎えに来てくれた兄が運転する車で実家へ。だが、そこには冷たくなった母がいた。失意から一時は野球をやめようとさえ考えたが、救ってくれたのが二宮監督だった。

 昨秋にリーグ優勝を決めた直後の東海大札幌戦で投壊。翌日に二宮監督から呼び出され、内角を突けない弱気な姿勢を問いただされた。滝田が「ぶつけるのが怖いんです」と伝えると「そんなんじゃ上には行けない。野球をやめろ」と一喝された。続けて「こんな姿、母さん見たら泣くぞ」と。その言葉で母の死を受け入れ、悲しみのどん底から立ち上がってみせた。

 今春のリーグ戦は3勝0敗、防御率1・40をマーク。チームを全国舞台に導き、プロ入りを大きく引き寄せた。「僕が変われたのは、監督さんの言葉があったから」と、滝田は感謝する。契約金で母のお墓を建てることを目標にしてきた左腕は言う。「1年でも長く1軍で活躍できれば」。天国の母へ、親孝行はここから始まる。(清藤 駿太)

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