【米アカデミー賞】「ゴジラ―1.0」がアジア映画初の視覚効果賞 山崎貴監督「俺たちはやったよ!」
2024年03月12日 05:00
芸能
プレゼンターのアーノルド・シュワルツェネッガー(76)が発表した瞬間、客席の山崎監督らVFX(視覚効果)を手掛けた映像制作会社「白組」のスタッフは立ち上がって万歳。「ゴジラのテーマ」が流れる中、山崎監督は授賞式のために作った特別仕様の金のゴジラ、他の受賞者3人もゴジラのフィギュアを持ってステージに上がった。オスカー像を受け取った山崎監督は、メモを取り出し英語でスピーチ。
「40年以上前に『スター・ウォーズ』と『未知との遭遇』を見たショックからキャリアをスタートさせた私にとって、この場所は望むことすら想像しなかった場所でした。私たちはまさにロッキー・バルボアでした。強大なライバルたちの前でリングに立たせてもらえたことは既に奇跡でした。しかし、私たちは今この壇上にいます!」。アカデミー賞で3部門を受賞した76年「ロッキー」をたとえに出して喜んだ。
山崎監督は今回、監督だけでなくVFX担当としてもクレジットされた。監督の立場で視覚効果賞の受賞者として名を連ねるのは、「2001年宇宙の旅」の巨匠スタンリー・キューブリック監督以来55年ぶり史上2人目の快挙。「この場所から遠く離れたところでVFXを志しているみんな、ハリウッドが君たちにも挑戦権があることを証明してくれたよ」と世界に呼びかけた。続けて、昨年12月に亡くなった阿部秀司プロデューサーに向け「俺たちはやったよ!」と報告。一緒に登壇したVFXディレクター渋谷紀世子さんの手には、阿部さんの写真が握られていた。
歴史に名を刻んだゴジラ生誕70周年記念作。授賞式後、山崎監督は原爆の開発者が主人公の映画「オッペンハイマー」が主要7部門を制したことに触れ「ゴジラも戦争、核の象徴であり、それを何とか鎮めようとする。そういう感覚を世界が欲しているのかもしれない」と話した。その上で「個人的には“オッペンハイマー”のアンサー映画は、日本人として作らなければいけないと思う」と早くも次を見据えた。
▽ゴジラ―1.0(マイナスワン) 日本で製作された実写版ゴジラとしては30作目。舞台は終戦後の日本。ゴジラが襲来し、元特攻隊員らが立ち向かう。主演は神木隆之介、ヒロインは浜辺美波。