「セクシー田中さん」調査で発覚 原作者と脚本家の間で起きていた「クレジット問題」 局は対応不十分

2024年05月31日 17:00

芸能

「セクシー田中さん」調査で発覚 原作者と脚本家の間で起きていた「クレジット問題」 局は対応不十分
日本テレビ社屋 Photo By スポニチ
 日本テレビは31日、昨年10月期放送の連続ドラマ「セクシー田中さん」原作者で漫画家の芦原妃名子さん(享年50)が急死した問題について、東京・汐留の同局で「社内特別調査チーム」が会見を開き、調査結果を報告した。
 約90ページに及ぶ調査報告書では、原作者と脚本家の間で「クレジット」に関する意見の相違があったことを説明した。調査の結果、原作の芦原さんは、制作の過程で局側に不信感を募らせ、第9、10話に「創作を入れないで欲しい」と、自身が脚本を書くと主張。同局は「原作者がドラマ化を許諾する権利を持つ以上、原作者の意向に背くことはできない」と判断し、脚本家を降板させ、9話のクレジットに脚本家の名前を表示しなかった。

 調査報告書によると、脚本家は「日本テレビからいきなり9、10話について本件原作者が脚本を書くことを告げられ、降板したが、自分のアイディアが使われているとして、本件原作者が脚本を書いた9、10話にも自分の名前をクレジットとして入れるよう要求した」という。

 脚本家が主張した「クレジット」に対する意見を受け、日本テレビは、脚本家の要望に応えようと「監修」「脚本協力」「協力」等のクレジット案を小学館に提案した。

 この提案について、芦原さんは、「これらのクレジットだと、9、10話の脚本に本件脚本家が協力していると捉えられる」として、提案を却下。最終話(10話)にはオールクレジットとして、本件脚本家名(1~8話脚本)を、本件原作者名(9、10話脚本)と離して表示することを認めた。

 同局は「原作者がドラマ化を許諾する権利を持つ以上、原作者の意向に背くことはできない」と判断し、9話のクレジットに脚本家の名前を表示しなかった。その結果、「脚本家の納得いく結果にならなかった」と、対応不十分であったことを報告書に記載した。

 日本テレビが公開した「クレジット問題」に関する経緯は、以下の通り。

▽本件原作者から、本件脚本家を降板させて欲しいと強く要求を受け、日本テレビはこれを受け入れる判断をした。

▽その結果として、本件原作者が9、10話の脚本を自ら執筆することになったが、これらの日本テレビの判断には、原作契約が未締結であったことが不安視されたという側面もあった。

▽本件脚本家は日本テレビからの強い説得を受けてやむを得ず上記の決定を受け入れたが、せめて9、10話に自分が関与したこと示すクレジットを入れるように要望した。しかし、結果としてこれは受け入れられなかった。放送を守りたい日本テレビは、本件脚本家のクレジット表記を認めないという本件原作者の意向に従わざるを得なかったとみられる。

▽日本テレビは、上記判断に至ったことを本件脚本家に説明しようと試みたが、本件脚本家をきちんと納得させることはできなかった。これは、本件脚本家が、当初クレジット表記の決定権は日本テレピにあるという説明を受けていたことも影響したとみられる。

▽こうした流れが本件脚本家はSNSへの投稿に繋がったが、日本テレビは、さらなる騒動の拡大を避けるため、また、脚本家個人のSNS投稿を取り下げるよう求めることは法的に難しいのではないかという法務見解もあったため、削除を求める、公式コメントを出すなどの対応は控えた。

▽本件原作者は、本件脚本家の投稿による世間の反応を気にしてブログ等への投稿を行ったとみられる。この時点では、事態の収束のために日本テレビとして取り得る選択肢はほんどなかったといえるが、そうであれば、このような事態に至るもっと手前適切な対応を取っておくべきであったと思われる。

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