【世界陸上】田中希実は5000m8位入賞「二度と忘れられない経験」葛藤の先に見えた景色

2023年08月27日 07:13

陸上

【世界陸上】田中希実は5000m8位入賞「二度と忘れられない経験」葛藤の先に見えた景色
こん身の走りで女子5000メートルで8位入賞を果たした田中希実(左)(ロイター)
 【陸上・世界選手権第8日 ( 2023年8月26日    ハンガリー・ブタペスト )】 女子5000メートル決勝で、田中希実(23=ニューバランス)が、14分58秒99で8位に入り、同種目では97年アテネ大会で8位の弘山晴美以来、26年ぶりの入賞となった。ラスト2周手前からペースを上げ、ラスト1周勝負でアフリカ勢と互角以上に渡り合った。6番手でフィニッシュする約30メートル手前で2人に抜かされ、8位。それでも自身初の入賞だった。「二度と忘れられない経験。自分自身が成長するきっかけになった大会」と語った。
 今大会は1500メートル準決勝で敗退。「東京五輪の5000メートルで予選落ちした時みたいに普通だったら奮い立たないといけないんですけど、むなしいという感情しか湧かなかった」と振り返る。「もう終わった」「走っても無駄なんじゃないかな」「参加するだけの5000なんて意味ないんじゃないか」…。複雑な感情を自分だけで抑えきれず、周囲に当たった。

 「最低限走るために自分の気持ちを奮い立たせるために凄く葛藤した」。それでも、父・健智コーチや現地にいるスタッフらに救われ「最後は本当に皆さんが寄り添ってくれた。他の人が信じてくれてる気持ちっていうのを裏切るのは絶対ダメだっていうことに気づけた」。紆余曲折の数日間を経て、5000メートル予選で日本記録を樹立。決勝でもアフリカ勢と真剣勝負できた。

 初めて決勝に進んだ19年ドーハ大会、東京五輪の1500メートルは「ビギナーズラック」と表現する。「その後に凄い怖さが出てしまった」と言い「実力、タイム。目に見える結果はあるのに、その実力を自分で信じられないことがずっと続いてた。今回は本当にそこを乗り越えてのこの結果だったので、本当の意味で世界のトップに仲間入りできたんじゃないかなと思います」と留飲を下げた。

 来夏のパリ五輪へ向けて「1500、5000メートルの2種目で狙いたいと思っている。今度こそ両種目で決勝に残って、レースも自分自身がもっとどんどん動かしていけるような強さを持ちたいと思います」と語り、再出発を期した。

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