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田中希実「幸せをかみしめる大会だった」パリ終幕、来年の東京世界陸上へ「本当の意味で勝負したい」

2024年08月09日 07:00

陸上

田中希実「幸せをかみしめる大会だった」パリ終幕、来年の東京世界陸上へ「本当の意味で勝負したい」
女子1500メートル準決勝を終えた田中(AP) Photo By AP
 【パリ五輪第14日 陸上 ( 2024年8月8日    フランス競技場 )】 女子1500メートルの日本記録保持者で21年東京五輪8位入賞の田中希実(ニューバランス)は、2大会連続の決勝進出には届かなかった。準決勝1組で3分59秒70で11着となり、突破ラインの6着に入れなかった。
 予選は11着ながら、ラスト200メートルで接触があったため救済で準決勝へ。「神様のいたずらというか、もう1回機会を与えていただいた」という舞台で、日本記録(3分59秒19)をマークした東京五輪以来、3年ぶりに4分を切った。

 「苦しい時間も長かった。今回は苦しいはずなのに幸せだった。一緒に苦しんでくれる仲間の存在を改めて感じた。私だけに与えられた苦しさじゃなくて、たくさんの人と味わったり、たくさんの人がいるからこそ味わえる苦しみだと思うことできた。幸せをかみ締める大会だった」

 東京後はもどかしい時間を過ごした。22年世界選手権は800メートルも含めた3種目に出場。800メートルは予選敗退、1500メートルは準決勝敗退、5000メートルは12位だった。異例の3種目挑戦に称賛の声もあったが、田中は取材エリアで泣いた。「力不足。全部が中途半端になってしまった」。ふがいない自分を、許せなかった。

 その後のケニア合宿が前を向くきっかけになった。多くの中長距離ランナーを輩出する大国に乗り込み、標高2400メートルのイテンなどで現地の選手たちと走った。自分の未熟さを感じる一方で、忘れかけていた走る喜びを取り戻した。「中学や高校の時のような、他の選手を追う環境。自分の中に眠っていた感覚を取り戻せた」と言う。

 今年の日本選手権前には、ケニア選手権も現地観戦。1500メートル世界記録保持者キピエゴンの強さに衝撃を受けた。「そういった選手と肩を並べて勝負したいというのは簡単だけど、まだまだ自分にとっては厳しい世界。でも、そういう走りをする人が生身でいることを実感できた。見に行って良かった」と明かす。

 5000メートルも1500メートルも決勝には進めなかったが、パリの経験は今後の糧になる。「(3年前の)東京の時は楽しくて、限界に向かって勝手に足が進んでいくように走っていた。今日はかみ締めるように走っていた」。来年は東京で世界選手権が開催される。「本当の意味で来年勝負したい」。田中はもう、次なる目標へ走り出している。

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