【内田雅也の追球】10戦連続無失策と「過ち」 併殺と塁上死で流れを失うのは当然

2023年07月09日 08:00

野球

【内田雅也の追球】10戦連続無失策と「過ち」 併殺と塁上死で流れを失うのは当然
<神・ヤ>初回無死、並木の打球をグラブに当てるも捕球できず内野安打とする佐藤輝(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神2ー3ヤクルト ( 2023年7月8日    甲子園 )】 「私はいつも、新聞をスポーツ面から読み始める」は戦後、米国最高裁判所長官を務めたアール・ウォーレンの言葉だ。1974年に没した。きょう9日が命日だ。
 「そこには人間が成し遂げたことが記録されているからだ。1面に載っているのは、人間がしでかした過ちばかりだ」

 敗戦後で気がひけるが、阪神が達成したことをまず書きたい。この夜で10試合連続で無失策となった。今季最長だ。6月27日中日戦からエラーは出ていない。昨年は8試合、一昨年は6試合連続が最長だった。集中力や緊張感を持ち、守れている証だろう。

 失点につながった1回表先頭の佐藤輝明三ゴロ内野安打、7回表先頭のシェルドン・ノイジーが及ばなかった左越え二塁打もあとわずかだった。

 ただ「過ち」をしでかしたのも確かだ。

 野球で流れを失うプレーは併殺と塁上死だという。それが同時に起きたのだから引き寄せた流れを失うのは当然だった。

 6回裏、同点としてなお1死二、三塁。ヨハン・ミエセス中飛で三塁走者ノイジーが本塁へ走った。二塁走者・大山悠輔も三塁を狙った。ところが8―4―5の中継で三塁憤死。「タイムプレー」でノイジーが本塁を駆け抜けるより先にアウトになったため、勝ち越し点は認められなかった。

 三塁ベースコーチ・藤本敦士は途中でストップをかけた。だが「タイミング的に遅かった」と大山は止まれず、足から滑り込んだ。「本塁生還を生かすため、おとりとなる走塁もあります。でも大山は行けると思って突っ込んできていた」

 藤本は「今年、他球団でもあったプレーなので注意はしていましたが……」と言う。阪神は反対に5月18日のバンテリンドームで、相手中日の走者の本塁到達より先に三塁上で刺し、無得点でしのいだことがあった。

 梅雨前線の影響か、強い風が吹き、中飛はずいぶんと押し戻され、並木秀尊は相当前進して捕球した。三塁突入の判断はどうだったか。「回の最初と最後のアウトが三塁上で行われてはいけない」との定説がある。

 痛恨の無得点の直後、伊藤将司は7回表、2死満塁から代打・川端慎吾に中前2点打を浴びて沈んだ。この夜、強烈な投手返しを2度も好捕していた伊藤将は足を投げ出して止めようとしていた。そんな闘志もむなしかった。=敬称略=(編集委員)

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