大和西の「中田ツインズ」燃え尽きた高校最後の夏 兄・寛之は吹奏楽部で弟・智大は野球部主将

2023年07月10日 22:31

野球

大和西の「中田ツインズ」燃え尽きた高校最後の夏 兄・寛之は吹奏楽部で弟・智大は野球部主将
<伊志田・大和西>試合終了後、肩を組む双子の弟の大和西・中田智大(右)と兄で吹奏楽部の中田寛之(撮影・田中 さくら) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦   大和西2―9伊志田 ( 2023年7月10日    秦野 )】 大和西は伊志田に悔しい敗退を喫したが、そこには立場は違えど、この夏に全てを懸けていた双子の物語があった。
 初回に先制を許す苦しい展開も3回に本塁打で同点。同点に追い付いた直後に左安打を放った選手がいた。主将・中田智大(3年)だ。中田は双子であり、兄・寛之は同校の吹奏楽部。この日も炎天下の中、三塁側応援席からチューバを奏で、智大の打席時は一層力強く演奏を響かせた。

 3回1死、智大はきれいな演奏に乗せて打球音を響かせると、鮮やかな左前打に。試合にこそ敗れたが、智大は主将として最後まで声を枯らし必死に躍動。試合終了と同時に大粒の涙があふれ出し、「やりきった」と高校野球を締めくくった。

 普段、2人は会話をあまりしないと言うが、最近は野球について話す機会も増えた。両親からは「寛大な心を持った人になってほしい」との願いが込められて付けられた寛之と智大。智大は「由来通りにはならなかった」と恥ずかしそうだが、主将としてチームを牽引する姿は寛大な心があってこそ。

 母は野球部主将の弟と、吹奏楽部で応援を盛り上げる兄が協力して一つの試合を作り上げることに「とても嬉しい」と、成長した姿を目に焼き付けていた。

 最初で最後の高校3年の夏は終わった。それでもいつか、2人で冗談も交えながら、互いの全てを懸けた“青春の一ページ”を思い出すだろう。
(田中 さくら)

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