ノイジーは「用意周到」な男 リーグ最多の9度目補殺は半年以上の準備が生んだ

2023年08月21日 08:00

野球

ノイジーは「用意周到」な男 リーグ最多の9度目補殺は半年以上の準備が生んだ
4回、ソトの安打を二塁へ好返球するノイジー Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神2ー0DeNA ( 2023年8月20日    横浜 )】 【畑野理之の談々畑】2―0の4回の守り2死走者無し、先発の伊藤将司はDeNAのネフタリ・ソトに左翼線に痛烈なライナーを打たれた。当然、二塁打コース。しかし左翼のシェルドン・ノイジーが二塁で補殺した。
 打球はワンバウンドしてから左に切れていき、ファウルゾーンでフェンスに届いた。ノイジーは跳ね返る方向をしっかり想定して、素手でキャッチすると二塁へ矢のような送球。ショートバウンドになったが、二塁手の中野拓夢が難なく捕球してタッチアウトだ。一連の動きで何か一つ手間取っていると、間に合わなかった。完璧だった。

 4回表に伊藤将が自ら2点目となる中前適時打を放っている。直後にピンチを背負うどころか、一転チェンジ。結果的に3人で終わらせ、伊藤将は9回完封まで一気にノッていけたと思う。接戦になったため、余計に際だっている。

 実はノイジーがずっと狙っていたプレーだった。この横浜スタジアムと東京ドーム、神宮球場は広いとは言えず、打球がゆるみにくい人工芝。クッションボールも比較的に易しく、打者も決して足が速いといえないソト。条件はそろっていた。

 ノイジーはオープン戦から初めて訪れる球場のフェンスの高さ、堅さ、クッションボールの強さと方向など確認してきた。二塁打コースのノックも繰り返し受けてきた。半年以上もかけてきた準備が、マジック点灯中の大事な一戦で出るのだから、してやったりだ。

 ちなみに一番、要注意なのが、甲子園なのだとか。慣れていると思いきや、まったくその逆らしい。以前「甲子園に慣れないといけない。特に両翼は角度があるからね」としかめっ面をして話したことがある。その理由は、筒井壮外野守備走塁コーチから聞いた過去のこの話だ。

 「僕が現役時代、右翼線の打球がネズミが這うようにツツツーと加速しながらフェンス沿いを転がった。それ以前にも坪井さん(智哉)が甲子園のライトで足を出して止めていたのも覚えている」

 油断をすると恐ろしいことになるのを警戒しているからこそ、ノイジーがここまで甲子園で大きなミスをしたのは見たことがない。それどころか、これで外野手ではリーグ最多の9つめの補殺。「きょうは打撃では貢献できなかったけど、守備では助けることができたね」。阪神で、過去に外野部門でゴールデングラブ賞を獲った外国人選手は一人もいない。広くて、風も強い甲子園を本拠地として、もしも初となれば快挙だと思う。

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