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能見篤史氏 阪神・村上は不調ではないが勝てない 虎打線はセでは珍しいスライダー軌道に苦しんだ

2024年06月12日 05:15

野球

能見篤史氏 阪神・村上は不調ではないが勝てない 虎打線はセでは珍しいスライダー軌道に苦しんだ
<オ・神>オリックスの応援が盛り上がる中、マウンドに立つ村上(左)(撮影・須田 麻祐子) Photo By スポニチ
 【交流戦   阪神0-4オリックス ( 2024年6月11日    京セラD )】 【能見篤史 視点】阪神打線はオリックスの曽谷に苦しめられた。打者はまず、150キロを超える速球に目付けをするだろうが、スライダーも“真っすぐ”と思ったところから曲げられていたのではないだろうか。リリースした瞬間はドンと向かってきて、クククッと変化する。セ・リーグの左投手にはない独特の軌道。イメージしていたものと違い、バットと投球の接点を見つけられなかったように見えた。曽谷がツーシームと呼んでいる“フォークボール”もしかり。6回まで放った7安打も会心の打球は一つもなく、この日に限っては力負けだ。
 一方の阪神・村上は最初のピンチだった5回2死三塁で頓宮に先制の二塁打を許した。初球にカットボールから入るなど決して不用意だったわけではないが、高かった。低かったら、あそこまで持っていかれることはない。6回の西川の右前適時打も初球。もっと慎重になるなど、もったいないし、防げたのではないかと思う。

 阪神は2回1死一、三塁をつくるなど、序盤は塁上を賑わせていた。特に投手力のいい両チームなので、先制点が試合の主導権を握るという典型的な展開。村上は絶対に“打ってくれ”“点を取ってくれ”と思っているだろうが、彼が素晴らしいのは絶対にそのような表情を見せないこと。マウンドで喜怒哀楽を表すこともない。4月30日の広島戦で2勝目を上げてから、自身4連敗と苦しんでいる間もずっとだ。

 私がオリックスの選手兼任コーチだった時、山本由伸がそうだった。味方守備がエラーした時こそ、その選手に声を掛けに行っていたし、チャンスで得点できなかった時こそ前を向いていた。チームが絶対的なエースを中心に一つになったのを知っている。村上の立ち居振る舞いも、山本由伸に似ているなと思う。阪神の各打者の奮起を信じるしかない。(スポニチ本紙評論家)

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