「ふてほど」ネット話題“お断りテロップ”の狙い“不適切”な台詞→当初はピー音も検討 番組P語る裏側
2024年02月02日 10:00
芸能
宮藤氏がオリジナル脚本を手掛けるヒューマンコメディー。「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」の阿部&宮藤氏&磯山プロデューサーが「タイガー&ドラゴン」以来19年ぶりにタッグを組んだ。主人公は1986年(昭和61年)から2024年(令和6年)にタイムスリップしてしまう“昭和のダメおやじ”体育教師の小川市郎。彼の“不適切”な言動がコンプライアンスで縛られた令和の人々に考えるヒントを与える。
初回が始まるや否や、黒バックに白の文字が表示され、現代においては“不適切”と感じられる劇中の台詞などに対し、予め注意喚起した。
「この作品には、不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが、時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現をあえて使用して放送します」
その画面の“裏”で市郎と一人娘・純子(河合優実)は「おい!起きろブス!盛りのついたメスゴリラ!」(市郎)「分かってるよ~」(純子)「ブスのくせにいつまで寝てんだよ!」(市郎)「うっせえなあ!クソじじい!」(純子)。ファーストシーンから“不適切”な台詞の応酬となった。
市郎は野球部のコーチ。ウサギ跳び1周、水を飲むとバテる、連帯責任のケツバットと「地獄のオガワ」らしい指導を行う。
幕開けから20分には冒頭と同じテロップが再び流れ、異例とも言える2回目の注意書き。
その後、野球部に入った転校生・向坂キヨシ(坂元愛登)に対し、市郎は強烈なノック。学校に乗り込んできた母・母・向坂サカエ(吉田羊)にも「更年期?」などと失礼な発言を連発した。
喫煙シーンも度々あったが、エンドクレジットの後の次回予告中に「このドラマはフィクションです。喫煙シーンは、出演者・スタッフの健康に配慮しながら撮影しています。河川敷での撮影は、管理者の確認を得て行っています」と表示された。
インターネット上には「注意喚起から始まるの、珍しいw」「注釈から入るの、天才」「2回目の注意テロップw」「注釈テロップ、まさかの2回」「注意テロップが最初だけじゃなく、途中にも出てくるドラマある?w念押しが凄いw」「注意テロップにもほどがあるw」「エンドにテロップを入れるのも、ある種のギャグ」「最後の断り書きも、令和のコンプライアンス意識に対する皮肉にすら思える」などの声が続出。反響を呼ぶとともに、視聴者の笑いも誘った。
お断りテロップの狙いについて、磯山プロデューサーは「企画当初は、不適切にあたる台詞や単語をピー音などで伏せようかと宮藤さんと話し合っていました。不適切な発言を一つ一つ、考査を経て『言い換え』すると、このドラマの性質そのものが変わってしまうためです」と“適切なワード”への変換より、ピー音を検討していたことを明かした。
「でも、それは見ている方々にとって雑音になりかねないし、結果的に何を言っているか分からないシーンになってしまう。だから、包括してお知らせすれば、このドラマの表現の意図をご理解いただけるのではないか、と思って私が提案しました」と経緯を説明。テロップの文言は、宮藤氏が書いたものをベースに「弊社の考査担当と何度も相談して決めました」。練りに練った“秘策”だった。
初回に2度入れたのは、宮藤氏のアイデア。「このドラマの性質をより明確にする意図もありますし、とにかく何でも『テロップで言及する』令和のテレビの風潮を表すのも狙いです」と語った。
時代を逆手に取り、コンプラの境界線を攻める今作。働き方がテーマになる第2話(2月2日)以降も、その表現方法が注目される。