男性諸君、冒険心、忘るべからず 男性更年期障害はテストステロン減少が要因
2024年02月02日 05:00
芸能
堀江先生、最近は「冬季うつ」という言葉をよく耳にします。
「冬季うつは、冬場の日照時間が短い欧州、特に北欧でよく知られています。日本でも、東北地方で増加していると言われています。歴史的に見て、かつては冬には“湯治”として、共同で自炊生活を送り、コミュニティーの絆を保っていました。これが冬季うつの予防になっていたようです」
なるほど。冬季うつと男性更年期障害の違いは何でしょうか。
「ともにテストステロンが減少するという共通点はありますが、冬季うつは主に冬場の日照時間が影響していますが、男性更年期障害は社会との関わり方や環境の変化によるところが大きいです。不安、イライラ、不眠、性欲の減少、性機能の低下、頭痛、めまいなど、症状は多岐にわたります」
女性の更年期障害とも違うんですよね。
「女性は閉経の前後数年間が更年期と、遺伝子レベルで決まっています。一方、男性には更年期が何度も訪れることがあります。転職、昇進、定年など、それまで評価されていた場所から離れるのが男性の更年期です。その時、心身に前述したような不調が出るのが男性更年期障害です。40代以上が多いですが、早ければ20代でもなります。放置しておくと、死ぬまで更年期障害を患ったままになります」
テストステロンの減少が関係しているんですよね。では増やさなきゃ。どうすればいいんでしょうか。
「テストステロンは、加齢というよりは、社会活動の減少や環境の変化に伴って減ると考えられます。女性はグループで食事や旅行をするなどしますが、男性はなかなかできない。特に定年後は、人との交流が減ります。そこで、週末に少年野球の指導をする、ゴルフに行って下手でも仲間内で“ナイスショット!”と褒め合う、居酒屋で仲間と飲むなど、人から何らかの評価をされるコミュニティーに身を置くことが大事。テストステロンの分泌につながります。女性とお酒が飲める店に行くのもいいことです」
堀江先生に、テストステロンを増やす10の方法をあげていただきました。これらは著書「うつかな?と思ったら男性更年期を疑いなさい」(東洋経済新報社)でも紹介されています。堀江先生、「プールではなく海で泳ぐ」とテストステロンが出るんですか?
「海は突然深くなったりと、プールより不安定。チャレンジをすることがテストステロンの分泌につながるということです」
「臭いものの話をする」というのも気になります。
「嗅覚の刺激がテストステロンに影響するという研究があります。“臭いものの話”は一つの例ですが、仲間内でワイワイガヤガヤ話して笑い合うにはいいのではないでしょうか。テストステロンにとっては、仲間と交流することが大事なので」
ほかに日常生活で気をつけることはありますか?
「睡眠は特に重要です。テストステロンは夜中に作られるので、深夜1時から3時ぐらいの間はしっかり眠る。丑(うし)三つ時に寝ていることが大事です。胸を張って、肩甲骨をくっつけるようにするのが効果的です。動物のドキュメンタリーで、ライオンが狩りの前に肩甲骨をくっつけるようなポーズをするのを見たことありませんか?テストステロンは狩猟をする、何かにチャレンジするという“冒険のホルモン”でもあるからです」
男性には何度も更年期があって、そのたびに更年期障害になる可能性がある、放っておいたら一生改善しない。いろいろ勉強になりました。堀江先生は「テストステロンは抗老化ホルモンでもある」とおっしゃってました。いつまでも、何事にも“現役”でいたいですよね。テストステロンを出す生活、今日から始めましょう!
◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。75歳の現役医師・鎌田實さんとの共著「70歳からの“貯筋”習慣」(青春出版社)が販売中。