鳥山明さん 「北斗の拳」研究でメガヒット作誕生 元担当編集者の鳥嶋和彦さんが追悼

2024年03月09日 04:45

芸能

鳥山明さん 「北斗の拳」研究でメガヒット作誕生 元担当編集者の鳥嶋和彦さんが追悼
ブシロード社外取締役の鳥嶋和彦さん Photo By スポニチ
 「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」の2大ヒット作を中心に、多くのファンを楽しませてくれた鳥山明さん。飛躍のきっかけは当時の担当編集者で、現在はブシロード社外取締役の鳥嶋和彦さん(71)との出会いだった。名編集者との二人三脚が、世界中の漫画読者とアニメファンを魅了する名作を生み出した。
 鳥山さんの才能を開花させたのが「Dr.スランプ」に悪の科学者Dr.マシリトとして登場する鳥嶋氏だ。週刊少年ジャンプ(集英社)編集長などを歴任した名編集者。昨年、出版した「Dr.マシリト最強漫画術」では、鳥山さんの描いた「あのころのトリシマとトリヤマ」を掲載。訃報を受けて「2人で作った最後の漫画になりました。45年にわたりありがとうございました。鳥山さん、あなたは最高の漫画家でした」と追悼した。

 「あまり漫画を読まなかった」と公言する漫画家と、少年漫画が嫌いとされるジャンプ編集者のコンビ。異色の組み合わせがメガヒットを連発させた。

 80年からジャンプで連載の「Dr.スランプ」は、原案で天才だがドジな博士とした主人公を、鳥嶋氏の助言でロボットの女の子に変更。自著にのめり込まず、後に「いつも第三者的な目で見ていた」と語っている。助言を柔軟に取り入れ大ヒット作となった。

 84年から同誌で発表の「ドラゴンボール」も、鳥山さんがカンフー映画にハマっているのを知った鳥嶋氏が「だったら格闘漫画でいこう」との提案が効いた。冒険要素の強い初期は、打ち切りの参考材料にもなる“ジャンプ名物”読者アンケートも伸びなかったが、格闘要素を強めるとぐんぐん上昇。鳥山さん自身「どうやら僕は戦う漫画の方が向いていた」と気付かなかった才能が開花したことに驚いていた。

 同時期のジャンプの人気作で格闘漫画の名作「北斗の拳」を研究し、連ゴマで動きを見せるなど作風も変更。アンケート1位になっただけでなく、世界的ヒット作となった。

 登場人物が手からビームや「かめはめ波」などの衝撃波を出し、空を飛び、変身や覚醒してパワーアップする科学とファンタジーが融合したような世界観は今に続くバトル漫画の基礎になっている。それに説得力を持たせたのが緻密かつ適度なデフォルメの利いたメカ描写。イラストレーター出身らしいスッキリした線の、格好良く可愛いキャラクター造形も読者を引き込んだ。漫画制作の最前線を退いた後も、アニメは作られ続け、幅広い世代を魅了している。(岩田 浩史)

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