「ふてほど」P語る「ミュージカル」誕生の経緯 宮藤官九郎氏もノリノリ「みんなの秘めた力が」
2024年03月27日 09:30
芸能
懐かし小ネタにコンプラ度外視の大胆なセリフ…同作の特徴は枚挙にいとまがないが、何といっても視聴者の度肝を抜いたのは、初回から毎話“恒例”として放送されている「ミュージカル」シーン。出演者に歌わせるだけではなく、第1話では「ロミオ&ジュリエット」木下晴香、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役・咲妃みゆ、第2話では「スリル・ミー」「スクール・オブ・ロック」柿澤勇人をゲスト出演させるなど、人気舞台俳優を起用し、本格的なミュージカルに仕立て上げている。
このミュージカルシーン、提案したのは磯山氏だという。きっかけは、宮藤氏が脚本を手掛けた19年放送のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」。後半(第2部)、東京五輪(64年)招致の立役者となった主人公“まーちゃん”こと朝日新聞記者・田畑政治(阿部サダヲ)が踊るシーンを見て、「ああいうの、私もやりたい!」とリクエストした。
「いだてん」で踊る阿部を見て心奪われ、長くパンクバンド「グループ魂」で歌う阿部を見ていた磯山氏は「歌う阿部さんはとても素敵だから…。そういうシーンを取り入れたら、阿部さんの魅力がより大きく伝わるのではないか…と思っていました」と、ミュージカルがさらに阿部の魅力を引き出すと確信していた。
魅力を感じていたのは、阿部だけではない。サカエ役で出演する吉田羊の歌声にも惹かれていた。吉田は2022年にデビュー25周年を迎え、同年9月に自身初となる音楽コンサートを開催。洋楽や荒井由美、椎名林檎、坂本冬美など様々な楽曲を歌唱した。このコンサートを訪れ、吉田の生歌を聞いた磯山氏は「それはもう、凄く歌がうまくて」と衝撃を受けた様子。加えて純子役・河合優実も幼少期からダンスを習っていた実力者とあり、「こんなに実はみんな凄い力を持っているなら、それを生かすシーンを入れましょうという話をしました」と経緯を打ち明けた。
この提案に賛同した宮藤氏は「じゃあいっそのこと、“テーマ”を歌うのはどうですか」とノリノリ。磯山氏ははじめ「あ、テーマを歌っちゃうんだ!」と驚いたというが、「でも、確かにこの部分を台詞のやり取りにすると、かなりディベートっぽくなって、何だか硬くなりそうと思っていたので『なるほど』と思いました。それに歌詞をテロップで出せるので、凄く伝わりやすいというメリットを感じました」と宮藤氏の手腕に感銘を受けた。
第6話では、視聴者大注目の純子役・河合優実がついに初歌唱。磯山氏は河合について、もともと「歌は上手」とは聞いていたが、実際に歌声を聞いたのはクランクイン後が初めてだった。地上波では稀有なドラマ歌唱シーンだが、堂々と「私はまだ~17歳~♪ 昔話のネタがない~♪」と、透明感あふれる伸びやかな歌声を披露。磯山氏は「作曲家の先生も“デビューしたらいいのに”と言っていました。本当に凄い」と賛辞を呈した。
さまざまな思いを込めたミュージカルシーン。磯山氏は「(ミュージカルシーンに)“何これ!”と笑っていただけるのは、凄くうれしいです」と視聴者の反応に笑みを浮かべた。