こだわり旬の旅
【静岡・富士宮】臨場感たっぷり富士登山疑似体験、頂上でド迫力の“本物”が待っていた!
2023年06月01日 18:00
社会
富士山が世界遺産に登録されたのを記念して17年に総工費約41億円で建設された施設で、中央の展示棟は県産ヒノキを用いた木格子による逆円錐形のユニークなデザイン。正面から見ると“逆さ富士”の形をしており、前面の約2300平方メートルにわたって富士山の湧水が張られた水盤に映る姿は“正富士”に見えるのだ。
設計は「建築界のノーベル賞」といわれる米プリツカー賞受賞者の坂茂氏。5階建てで、全長193メートルのらせんスロープと壁面に流れるタイムラプス(低速度撮影)の映像、5つの展示ゾーン、ミュージアムショップなどで構成され、映像を見ながらスロープを上ると富士登山が疑似体験できるというわけだ。
早速、スロープを上り始めると、壁面にまず海から見える富士山が現れる。次いで平地、富士山五合目、森林限界、山頂と標高が上がっていき、最後は山頂からの風景の映像。登山道や山中から見下ろした町の夜景、太陽の御来光などを登山者の目線で見ることができる上、雲の湧き出る様子や登山者のシルエット、さらに鳥の鳴き声や登山靴で地面を踏みしめる音など音の演出も加わり、臨場感たっぷり。十数年前に実体験した富士登山を思い出す。
途中には、富士山の自然を学ぶ「育む山」、信仰の対象として富士山を学ぶ「聖なる山」、富士山の成り立ちを学ぶ「荒ぶる山」などの展示ゾーンと、265インチの大画面で富士山の自然などを4K映像で紹介する映像シアターがあるが、それらの見学は下山時に後回し。スロープの先にある“頂上”展望ホールに到着すると、いつの間にか雲が晴れて雄大にそびえる富士山が待っていた。
同ホールは全面ガラスがないピクチャーウインドウになっており、飛び込んでくる霊峰の姿は大迫力。刻一刻と表情を変え、一幅の絵画を見ているよう。テラスに出れば富士宮市街や神田川、そして富士山本宮浅間大社(せんげんたいしゃ)などを見下ろすことができ、まさに壮観。「世界遺産登録10周年おめでとう!」と叫びたくなった。
▽行かれる方へ JR身延線富士宮駅からは徒歩8分。車は新東名高速道新富士ICから約10分。観覧料300円。問い合わせは富士山世界遺産センター=(電)0544(21)3776。