こだわり旬の旅
【長野・野沢温泉】スコッチに負けないウイスキーを!温泉の村に蒸留所誕生 4種の味が楽しめるジンも
2023年10月05日 16:00
社会
昨年12月にオープンした蒸留所。地元で飲食店などを運営する日本人とオーストラリア人のチームが、標高約570メートルの村に50年の時をかけて湧出する雪解け水で蒸留酒を造ろうと思い立ったもので、招聘されたのが茨城県の蒸留所でウイスキーなどの製造開発を行っていた米田さん。大阪府で生まれ、母の郷里の“ウイスキーの本場”スコットランド・キャンベルタウンで育った米田さんは「山や森に囲まれた村の風景はスコットランドを思い起こさせた。どこを歩いても水の音が聞こえ、湧き水を飲むことができる。蒸留酒を造るには最適な環境だと思った」という。
建物は元缶詰工場をリノベーション。鉄骨平屋造りの蒸留所内に入ると、今年1月に仕込んだという100リットルと50リットルのウイスキー樽150個が所狭しと積まれ、その向こうにはドイツ製の最新の蒸留器ポットスチルが並ぶ。ただ、ウイスキーが熟成するには最低でも3年かかるため、手始めに短期間で醸造できるというクラフトジンを開発、販売。手摘みしたクロモジが香ばしい「NOZAWAGIN」、山椒を利かせた「CLASSIC DRY GIN」、スモモとリンゴの融合が楽しめる「IWI GIN」、赤しその甘みがさわやかな「SHISO GIN」の4種類で、すべて地元の素材を組み合わせて造ったものだ。
それぞれを試飲したが、いずれも鮮烈で深みのある飲み口。今春、米国で開かれた世界最大級の国際酒類品評会「SFWSC」で、約6000もの品種の中からすべてが金賞を受賞したのもうなずける味わいだ。
「クラフトジンの発売で野沢温泉のスピリット、魅力、自然を世界に発信していきたい」と語る米田さんにとっては、手応え十分のスタート。蒸留所ではクラフトジンを毎年5万本生産。26年末にも誕生するウイスキーは年間10万本の生産量に拡大する予定で、熟成6年以下はないというスコッチに少しでも近づけるため、熟成期間を少しずつ延ばしていく構え。「大胆な味のウイスキーにしたい」という米田さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
▽行かれる方へ 車は上信越道豊田飯山ICから国道117号線利用。クラフトジンは4種類とも500ミリリットル瓶税込み4850円、200ミリリットル瓶同2600円。試飲は500円。問い合わせは野沢温泉蒸留所=(電)0269(67)0270。