こだわり旬の旅
【北陸】酒巡りの旅、まずはワインから…世界も認めた至極の味わい 「地元に恩返し」の情熱から生まれた
2023年12月02日 15:00
社会
それだけではない。世界最大級のワインコンクール「IWC2023」では「アロマ…」が銀賞、アジアで日本ワインの認知を高めるためのコンクール「香港和酒アワード」では「ドメーヌボー…」が最高のプラチナ賞を受賞するなど、“ワイン界の大谷”といった活躍ぶりだ。
MVP級ワインを味わおうと15ヘクタール(東京ドーム3個分)の広大なぶどう畑に建つ醸造棟を訪ねると、「真摯な気持ちと情熱でワイン造りをしたことが評価された」と笑顔で迎えてくれたのが中山安治社長(73)。これまでに40年以上、酒店を経営。約25年前、「しびれるようにうまい」豪州ワインに出会い、ワインに心酔。以来、ヨーロッパを訪ねてワインを買い付け販売してきたが、ガンになったことで一念発起。「残された人生で地元に恩返ししようとワイナリーを始めた」という。
まずは富山県の酒蔵で10年間杜氏を務めていた男性を採用し、醸造機器などの設備に1億円強を出費。ぶどうは減農薬法で栽培し、元ラガーマンという中山さんの「誰にも負けない情熱」でワインを造り上げた。試飲すると、金賞の「アロマシャルドネ…」は深みがある一方でフルーティー。銅賞の「ドメーヌーボー…」は滑らかでのど越しが抜群。「女房のように死ぬまでそばに置きたいワインを造りたい」という中山さんの思いが込められたような味わいだ。
至極のワインには極上の味をと、県漁業の中心の新湊漁港がある射水市の寿司店「清寿司」で富山湾鮨を味わった。「天然の生け簀」と称される富山湾で捕れる地魚をネタにした寿司で、シロエビ、ベニズワイガニ、バイ貝、マヨイガツオ、甘海老など10貫。すべて新鮮かつ肉厚でとてもおいしい。寿司に合うという、香港和酒アワードシルバー賞受賞の「立野原シャルドネ」が置いてないのが残念だった。
▽行かれる方へ ドメーヌ・ボーではワイナリー見学ツアー(500円、要予約)を実施中。受賞ワインは3000~5000円。清寿司は路面電車万葉線庄川口駅から徒歩9分。問い合わせはドメーヌ・ボー=(電)0763(77)4639、清寿司=(電)0766(84)0151。