日本ハム・上原健太が示した成長の跡　意外にも人生初だった

2023年08月22日 07:15

野球

日本ハム・上原健太が示した成長の跡　意外にも人生初だった — 20日のオリックス戦で9回無失点の好投を見せた日本ハム・上原（撮影・北條　貴史） Photo By スポニチ

　勝ちは付かなかった。でも、日本ハム・上原健太投手（29）は投げ抜いた。20日のオリックス戦でチームは延長11回の末にサヨナラ負けを喫したが、9回4安打無失点と完璧な投球を見せた。さらに、試合後の言葉を聞いて驚いた。「ここまで投げ切ったことは野球人生でなかった。9回投げ切ったことが人生で初めて。何年かかったんですかね」。プロ入り最長の9回どころか、アマチュア時代も含めて初めてだった。

　確かに、東京六大学リーグでは4年間で通算57試合に登板し、14勝を挙げたが、9回を投げ切ったことは一度もない。アマチュア時代でも未経験だった9回のマウンドを投げ終え「一つ先に進めた。9回どうのこうのって考えなければ投げられるんだなと思いました」と充実感をにじませた。

　シーズンは残り32試合。決して多くはないが、先発ローテーションの座を確固たるものにするためにも、大きな首脳陣へのアピールになったのは確かだ。試合後の建山投手コーチも「文句の付けようがない。ボールの質も上がってるけど、打者心理とかをしっかり理解している。いろんな部分で成長していると思う」と評価した。

　チームは最下位に沈んでいるが、多くの選手が成長を遂げているシーズンでもある。ここまで14試合に登板して2勝と、勝ち星には恵まれていないが防御率2・39と一定の成績は残している上原もその一人。「大きな経験になりましたし、これから先にかなりつながってくると思う」と繰り返した。先発陣では加藤貴之投手（31）に続く貴重な左腕。さらなる飛躍を期待したい。（記者コラム・田中　健人）