栗山CBOも関心 「レイズの奇跡」は容易にまねできない

2024年03月09日 07:15

野球

栗山CBOも関心 「レイズの奇跡」は容易にまねできない
フィリーズ戦でレイズのユニホーム姿でベンチ入りする日本ハムの栗山英樹CBO(撮影・杉浦 大介通信員) Photo By スポニチ
 「レイズというチームのやり方は、日本においてみんなが興味を持っているところ。ファイターズと同じようにお金をたくさん使えないチームながら、安定して勝ち続けるし、スター選手を出せている。僕としても憧れだったので、どういうことをしているのかを凄く知りたかったです」
 現在、大リーグ視察中の日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)のそんな言葉を聞き、レイズの成し遂げていることが奇跡的だと改めて思い返させられた。

 メジャー屈指の低予算チームながら、5年連続プレーオフ進出、直近の3年中2年はシーズン99勝以上。毎年大型補強なんてまずあり得ず、しかもヤンキース、レッドソックス、ブルージェイズといった金満チームと同じア・リーグ東地区に属していることを考慮すれば、この安定した強さは驚異的である。一発勝負ならともかく、162試合に及ぶ長いシーズンでは資本力があり、層の厚いチームが絶対に有利なはずだからだ。

 「レイズの一員になれて興奮しているし感謝します。投手育成の豊かな歴史と、球団の成功に感銘を受けて、レイズを選びました」

 今オフ、上沢直之投手がそう語り、他チームからのメジャー契約を蹴ってまでレイズとのマイナー契約を選択したことも象徴的だった。
 2008年、万年下位チームが突然ワールドシリーズ進出を果たした際には「レイズ旋風」と騒がれた。それももはや一過性の旋風などではなく、レイズの勝利の伝統は球界全体からリスペクトされている印象がある。

 昨季も年俸総額は30球団中27位の6465万ドル(約95億円)。これほどの低予算で毎年のように勝ち進む理由は何なのか。上沢も挙げていた「選手育成のうまさ」以外に、「スカウティングのレベルの高さ」「選手発掘」「再生の巧みさ」「戦術の斬新さ」などが挙げられるが、言葉で言うのは簡単でも、実際には何が行われているのかはまだまだ分かりづらい。そう考えていくと、栗山CBOがレイズの視察を熱望していた気持ちも理解できる。

 もっとも、レイズに文字通り「潜入」した栗山CBOに詳細を改めて尋ねても、やはりはっきりとした答えは返ってこなかった。

 「組織、レイズのシステム、スタッフの教育というところを中で話して、思った通りいくつか“なるほどな”と思うことがあった。凄く勉強になりました。具体的に何がなるほどと?まあまあまあ、そこは(笑い)。さすがにレイズってこういうところなんだってことも、いくつか教えてもらったので」

 恐らくそれはそれほど簡単に外に出せるものではないし、聞いたところで容易にまねできるものでもない。だからこそ、ハイレベルの成功が維持されてきたのだろう。上沢の活躍、栗山CBOの今後の活動の中から、「レイズの奇跡」の秘密が少しでも漏れてくることを期待しておきたいところだ。(記者コラム・杉浦大介通信員)

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