吉高由里子 「お酒を片手に1時間私にください」 大河「光る君へ」主演
2024年01月05日 12:00
芸能
「従者がずっと一緒にいるんだなあ…。ずっとついてくるんだなあ…。ドラクエかよ!と思いながら歩きました(笑)。姫は姫で大変なんだなあと思いました」
平安時代のドラマのワンシーンを現代のゲームソフト「ドラゴンクエスト」に例える発想が面白い。
それだけではない。紫式部(まひろ)の人物像に関してはこう語った。
「摩訶不思議な存在だと思います。『源氏物語』で世界中の人に名前を知られているにも関わらず、当時の女性の記録は残っていないので、彼女のことは良く分からない。分からないから想像してしまう。亡くなってから千年もたっている今も、いろんな人が彼女のことを『こんな人だったのでは…』と想像している。『想像させる女』『罪な女』なのだと思います」
紫式部を「罪な女」とする発想も面白い。その発想は作家のようでもある。取材会後に個別インタビューの機会があり、自身の「文学的素養」について尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。
「ないんですよ。小学生の時、本当に作文ができなくて先生に『君の作文は詩みたい』『句読点が独特』と言われました。小さい頃から本を読んでいなくて、分からないことがあっても自分で調べないですぐに人に聞いていました。でも、昔から人に質問するのが好きで、その人の知識、言葉で説明してもらうのも好きでした。だから、その人たちが使った言葉を無意識にインプットして、それを使っていることはあると思います」
この大河は昨年5月にクランクイン。撮影はおよそ一年半にわたって続くが、これほど長い期間、一つの役を演じ続けるのは初めてだ。
「役を育てているのか、自分が育てられているのか…。両方が並走する期間になるんじゃないかと思います。今は成長というか、扮装している自分を見慣れてきたところはあります。あとは、所作に関しては注意されないようになって来たので、なじんできたのかな…とは感じています」
全ての撮影が終わる頃にはこれまでとはひと味違う役者に成長しているかもしれない。
「私はすぐに忘れちゃうんですよね(笑)。終わった!と思うと、すぐに忘れちゃう。でも、この期間が特別なものになることは間違いないと今も感じながら過ごしています」
まひろは幼い頃に母親を失うが、学問をつかさどる父親のもとで、文才を発揮。想像力と好奇心を育み、思慮深く鋭い感性を持つ女性へと成長していく。演じていて「共感するセリフ」はあるのだろうか…。
「『ずっと肩に力が入っているのかもしれません』というセリフがあります。私も本番中に凄く緊張することがあって、その時はぐっと肩に力を入れているので、終わった時、肩こりがひどいです(笑)」
「源氏物語」の作者である女性を主人公にしたこの作品は過去の大河以上に女性視聴者の関心を集める可能性がある。
「働く女性に共感してもらえる部分があると思います。働きつつ家庭も子供もほしいという話もいろんなところで出てくるので『私も頑張ろう』と思ってもらえるような作品になればいいなと感じます」
もちろん、ヒットのためには男性視聴者の注目も不可欠だ。
「みやびな時代を描き、画面は鮮やかだと思います。お酒を片手に、1時間、私にください。お願いします」
男性へのメッセージをそう語って艶やかな笑みを見せた。
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。