【王将戦】菅井八段 藤井王将の牙城に迫ったが…反省点は「中終盤の読みの精度」

2024年01月09日 05:09

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【王将戦】菅井八段 藤井王将の牙城に迫ったが…反省点は「中終盤の読みの精度」
対局を振り返る菅井竜也八段(撮影・西尾 大助)  Photo By スポニチ
 【第73期ALSOK杯王将戦第1局第2日 ( 2024年1月8日    栃木県大田原市・ホテル花月 )】 挑戦者・菅井竜也八段(31)は終盤まで大健闘を演じながら、あと一歩が届かなかった。第1日に発生した千日手の筋を打開して消耗戦に持ち込み、内容的には藤井聡太王将(21)にたっぷり汗をかかせた惜しい黒星。第2局以降の反撃に期待だ。
 最後は一度も王手をかけられることのない状態で、潔くこうべを垂れた。「(79手目)▲4八銀(第2図)と引いた手が良くなかったですね…。(応手の)△8七歩の瞬間にと思っていたんですが、こちらが桂とか香に弱い形。ちょっと厳しいと思いました」

 第1日の夕刻には藤井からそれとなく千日手を打診されたが、いささかのブレもなく拒否。「凄く難しい局面でした」と苦悩の胸中を明かすも、背景には昨年5月28日に岩手県宮古市で行われた叡王戦第4局での苦い思い出があった。2度に及ぶ千日手を経て敗れた戦いで、2度目の千日手はリードを奪いながら打開できず。「あれは死ぬほど後悔しました」。現役最強棋士相手にせっかく優位を保ったのに、その座を自ら放棄してしまう失態はその後、脳裏から離れない。

 同じ過ちを繰り返さないと誓って臨んだ今回の王将戦。相穴熊の膠着(こうちゃく)将棋で、先に手を出した方がカウンターを食らって不利になる我慢比べに耐えながらも、消費時間では頭一つ抜け出す。相手に中考を重ねさせ、終盤には1時間近くリードを広げる。残り10分を切って胸突き八丁状態だった藤井に対し、菅井の残り時間はなんと80分。形勢的には押されながら、このメリットを生かし切れれば十分に勝機があった。

 控室では97手目▲4三歩成に代えて4一角の妙手が発見されていた。この進行ならば4、5筋に垂らした2枚の歩を「と金」に出世させ、後手穴熊の分厚い守りを少しずつはがせたかもしれない。

 「(藤井の104手目)△6四角がいい手。あの局面にぴったりで…。(反省点は)中終盤の読みの精度です」

 本譜は無念の結果でも、絶対王者の牙城に肉薄したのは確かだ。「振り飛車はAIの評価値を超える」という信念通り、藤井に重い圧をかけ続けた事実は誰も否定できない。「次(第2局)は近いので、気を取り直して頑張りたいです」。大盤解説に集まったファンに向けてきっぱり言い切った菅井。挽回のチャンスはたっぷりと残っている。 (我満 晴朗)

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