八代亜紀さん 女王が少女に戻った62歳“NY夢の夜”

2024年01月10日 05:20

芸能

八代亜紀さん 女王が少女に戻った62歳“NY夢の夜”
国内最大のメタルバンドの競演ライブ「LOUDPARK(ラウドパーク)13」に出演し、ギタリストのマーティ・フリードマン(右)の横で熱唱する八代亜紀 Photo By スポニチ
 【悼む】八代さんの夢舞台に立ち会った。それはまだ肌寒い、2013年3月27日の米ニューヨーク。当時62歳の演歌の女王は名門ジャズクラブ「バードランド」で30年ぶりの海外公演に挑んだ。
 開演前に、憧れ続けた米ジャズ界の伝説的女性歌手ヘレン・メリルと対面。会うなりハグして「みんなに自慢したい」と無邪気に喜んだ。当時82歳だったヘレンと同じ「82歳まで歌い続けます」と誓った。ジャズに夢中になった少女時代を思い出すように初々しい笑顔が今も印象深い。

 “少女”は本番に向けて青いスパンコールドレスに着替えると、「演歌の女王」に戻っていた。ドレスに光が反射してまばゆいオーラを放つ。ジャズ調にアレンジされた「雨の慕情」で始まり、メリルとのデュエットで耳の肥えたニューヨーカーや日系人ら客席の500人を沸かせた。

 夢の夜の最終盤で熱唱した「舟唄」はジャズ調ではなく演歌版のまま。バックバンドがイントロを演奏し始めると、客席は水を打ったように静けさに包まれた。ハスキーなボイスでしっとり、情感たっぷりに歌い上げると、涙を浮かべる観客の姿も。異国で神髄を発揮した「演歌の女王」の歌声に鳥肌が立ったことを鮮明に覚えている。(文化社会部・安田 健二)

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