【スポニチスカウト部(18)】仙台育英・佐々木広太郎 “背番号1”取り返し2度目の日本一へ

2024年06月11日 06:00

野球

【スポニチスカウト部(18)】仙台育英・佐々木広太郎 “背番号1”取り返し2度目の日本一へ
ブルペンで投げ込む仙台育英・佐々木(撮影・西尾 大助) Photo By スポニチ
 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第18回は、仙台育英(宮城)の最速145キロ右腕・佐々木広太郎投手(3年)。春季宮城県大会は故障によりベンチ入りメンバーから外れたが、最後の夏に向けて復活を誓った。
 白球の代わりにペンを握った。春季大会で背番号1を背負うはずだった佐々木は、記録員としてベンチ入り。県大会を制した仲間たちを「凄く成長している」と誇らしく思い「夏はエースナンバーを取り返す」と誓った。

 大会直前の3月31日に悲劇が襲った。練習試合の打席で、バントの構えからバットを引いた形で死球を受け、右手中指を骨折。見たことがない形に曲がった指を見て「終わった…」と思った。全治3カ月。春どころか夏のプレーさえ危ぶまれる重傷だった。

 北海道別海町出身。「人より牛が多い」自然豊かな町として知られる。佐々木は別海中央中時代には捕手、投手としてプレーし、全国大会にも出場。進路決定の際、北海道では誰もが知る強豪から内野手として誘われた。「春からレギュラーで使うつもり」と最大級の評価。それでも仙台育英を選んだ。中学時代は「思い切り投げていただけ」という投手の能力を須江航監督が評価。名将が別海まで来て言った「投手として改善できるところがある」の言葉から勇気をもらった。

 順調にエースへの階段を上った。昨春の選抜では初のベンチ入りを果たし、龍谷大平安(京都)との3回戦で甲子園デビュー。公式戦初登板の初球を左中間席に運ばれ「焦った」と甲子園の怖さも知った。昨夏の甲子園はベンチ入りならずも、準優勝に導いた右腕・湯田統真(明大)ら鉄壁投手陣を形成した先輩たちの背中から学んだ。湯田からは「周りは気にしない」とマウンドに立つ心構えを授かり、信条にした。

 夏直前。驚異的回復を見せている。5月20日にはキャッチボールを再開。「自分が前例をつくったら後輩たちが大きなケガをしたとしても諦めない」という思いがある。佐々木が戻るべき場所に戻った時、2度目の日本一も見えてくる。 (柳内 遼平)

 ≪中大・東恩納のスタイル目標≫佐々木は2歳まで宮城県に住み、中学までは北海道別海町で育った。今春選抜には別海が21世紀枠で出場。「夏は別海と甲子園で対戦したい」とかつての仲間たちとの再会を望む。理想の投手は中大の1年生右腕・東恩納。昨春に須江監督から「目指すべきは東恩納投手のスタイル」と勧められたことがきっかけだった。佐々木は常にカウントを優位に進め、最速145キロの直球、スライダーでフィニッシュするスタイル。昨夏、47回1/3も連続無失点を続けた憧れの投手のようにゼロを並べるつもりだ。

 ☆球歴 別海中央小2年から別海中央ジュニアイーグルスで野球を始め、別海中央中では軟式野球部に所属。仙台育英では2年春の選抜で初のベンチ入り。憧れの選手は中大・東恩納。

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