大谷翔平が語った“1回しか観たことがないプロ野球の試合” 米移籍前の松井秀喜もプレーした白熱のGT戦

2024年06月03日 08:00

野球

大谷翔平が語った“1回しか観たことがないプロ野球の試合” 米移籍前の松井秀喜もプレーした白熱のGT戦
巨人時代の松井秀喜 Photo By スポニチ
 日本ハム時代から番記者としてドジャースの大谷翔平投手(29)を追い続け、今季で担当11年目を迎える。今年は2月から始まった78泊80日の長期米国出張を終え、4月下旬に帰国。次回出張まで日本から現地取材をサポートする業務に携わっている中、5月16日のレッズ戦後の大谷の談話が強く印象に残った。
 この日、ドジャースが招待した小児の心臓病患者のアルバート・リー君(13)の会見に大谷がサプライズで登場し、サイン入りユニホームをプレゼントした。その後、始球式で捕手役を務めたことが話題を集めた。

 試合後。あるメディアが「子供の頃に逆の立場で(アルバート・リー君のような)ああいう経験はありましたか?」と問うと、大谷は「ないです。僕は1回しかプロ野球の試合を観たことがないので。もちろん始球式みたいなものもないです」と笑顔を見せた。

 この“1回しか観たことがないプロ野球の試合”が、私の過去の取材メモに残っていた。大谷少年が野球を始めた小学2年の02年3月。春休みを利用して、2歳上の姉・結香さんとともに横浜の祖父母の家へ遊び行ったことがあった。数日後の3月30日、その祖父母に連れられやって来たのが、東京ドームで行われた巨人―阪神の開幕戦。これが大谷にとってプロ野球初観戦だった。

 同日の巨人のクリーンアップは「3番・右翼」高橋由、「4番・中堅」松井、「5番・一塁」清原。巨人・上原、阪神・井川の壮絶な投げ合いは、9回1失点で清原の1号ソロのみに封じた井川に軍配が上がり、阪神が巨人を3―1で下した。大谷少年が心を熱くした“白熱のGT戦”だった。

 日本ハム時代の大谷は、憧れの打者としてイチロー(マリナーズなど)や高橋由を挙げていたが、エンゼルス時代の公式ガイドには「好きな打者」として松井が記載されていた。松井はこの02年に史上8人目のシーズン50本塁打を記録し、オフにFA権を行使してヤンキースへ移籍。プロ野球初観戦の貴重な記憶は、きっと大谷の脳裏に色濃く刻まれていたのだろう。

 アルバート・リー君は大谷の一挙一動を目の当たりにし、何を感じたのだろうか。勇気や希望、感動をたくさんもらったのではないだろうか。

 大谷は新天地ドジャースでメジャー7年目を迎えた4月21日。その松井を抜くメジャー通算176号を放ち、日本勢最多記録を更新した。

 病床の子供にワールドシリーズでの本塁打を約束して実現させた伝説を持つベーブ・ルースのように、大谷もきっと子供たちに夢を与えていることだろう。(記者コラム・柳原 直之)

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