ヤクルト・石川 史上初!プロ1年目から23年連続勝利 44歳4カ月“緩急自在”待望の今季初白星

2024年06月03日 05:30

野球

ヤクルト・石川 史上初!プロ1年目から23年連続勝利 44歳4カ月“緩急自在”待望の今季初白星
<楽・ヤ>23年連続勝利をつば九郎とともに喜ぶ石川(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【交流戦   ヤクルト4―0楽天 ( 2024年6月2日    楽天モバイル )】 ヤクルトの石川雅規投手(44)が2日、楽天戦で今季初勝利を挙げ、史上初めてプロ1年目から23年連続勝利を達成した。米田哲也(阪急など)の22年連続に並んでいた。1年目からに限らなくても、工藤公康(西武など)、山本昌(中日)、三浦大輔(DeNA)に並ぶ最長記録。通算186勝目。試合は4―0の5回裏終了で降雨コールドとなり、自身9年ぶりの完封。2引き分けを挟んだチームの連敗を5で止め、今交流戦初勝利となった。
 小さな大投手がまた偉業を成し遂げた。石川が今季4戦目で待望の初勝利を挙げ、1年目から23年連続白星という史上初の記録を達成。9回を投げ抜いた15年4月25日の巨人戦以来、3326日ぶりの完封勝利となった。

 「シーズン最初の勝利は特別。一人ではできないし、家族や監督、コーチ、裏方さん、全ての人がいないとマウンドには上がれない。感謝しかないです」

 強い雨が降る中、ぬかるむマウンドにもフォームは乱れず、投球術は際立った。直球の最速は130キロでも、球速差のある2種類のシンカー、100キロ前後のカーブなど、遅球の中で緩急を生む持ち味を発揮した。

 4安打無失点で5回を投げ終えると、雨脚が強まって試合が中断となった。「まだマウンドに上がる準備をしていた」。30分後に終了が決定。同じ東北出身の秋田出身で、年も近く互いに意識し合う存在の39歳岸に、東北の地で投げ勝った。

 身長1メートル67で、NPBでは最も小柄な投手だ。中学入学時は1メートル37で「このまま成長が止まるんじゃないか」と不安を抱えていた。「よくチビって言われて。だから“チ”という言葉が聞こえるだけで過敏に反応して。被害妄想みたいな感じで」。ただ、野球をしている時はコンプレックスを忘れられた。

 「コンタクトスポーツでもないし体重別でもない。体の大きい小さいに関係なく、うまい子が試合に出られる。そこに野球の魅力を感じていた」

 昨オフに「キング・オブ・パラアスリート」と称される車いすテニスのレジェンド・国枝慎吾さんと対面する機会があった。「凄く前向きな人。自分ができないことに目を向けるのではなくて、何ができるのかを考える大切さを学んだ」。150キロは投げられなくても、44歳になっても自分らしさと向き合う大切さを再確認した。

 プロ入り時の会見で、当時指揮官で現役時「小さな大打者」と呼ばれた若松勉監督になぞらえ「僕は“小さな大投手”になります」と宣言した。23年で積み上げた勝利は186勝。200勝という大きな目標へ、若い選手にはまだまだ負けるつもりはない。(重光 晋太郎)

 ▼ヤクルト・高津監督 非常に落ち着いて自分の投球ができていた。完封で決めてくれて、100点だと思います。

 ≪完投は3年ぶり、前回も5回コールド≫石川が15年4月25日巨人戦以来の完封で今季初勝利。44歳4カ月での完封は、10年9月4日巨人戦の山本昌(中=45歳0カ月)に次ぐ歴代2位の年長記録になった。完投は21年6月4日の西武戦以来3年ぶりで、前回も5回コールドだった。交流戦通算29勝で自身の持つ最多記録を更新。23年連続勝利は4人目のプロ野球タイ。1年目からでは56~77年米田哲也(近鉄)の22年を抜くプロ野球新記録だ。なお1年目からの大リーグ記録はロジャー・クレメンス(レッドソックスなど)の24年連続で、来年並ぶ可能性がある。

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