浦和学院2年ぶり15度V!急逝の三浦元コーチにささぐ夏切符 “父撃ち”で鍛えた三井が3安打3打点

2023年07月29日 05:00

野球

浦和学院2年ぶり15度V!急逝の三浦元コーチにささぐ夏切符 “父撃ち”で鍛えた三井が3安打3打点
<浦和学院・花咲徳栄>優勝した浦和学院ナイン(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権埼玉大会決勝   浦和学院7―2花咲徳栄 ( 2023年7月28日    大宮公園 )】 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は28日、7大会で決勝戦が行われるなど8大会で9試合が行われた。埼玉大会決勝では浦和学院が花咲徳栄を7―2で下し2年ぶり15度目の優勝。三井雄心(ゆうしん)内野手(2年)が3安打3打点をマークした。24日に巨人、西武でプレーしたコーチの三浦貴さんが大腸がんのため45歳の若さで死去。天国の恩師に、次は聖地での活躍を届ける。
 満面の笑みで応援席へのあいさつを終えた数分後、“男の約束”を果たした浦和学院ナインはベンチ裏で人目もはばからず泣いた。グラウンドでも森大監督が「明日、お通夜なので勝利の報告ができることをうれしく思います」と優勝インタビューで号泣。譲れない夏に2年ぶり15度目の頂点に立った。

 突然の訃報だった。準々決勝前日の24日。OBでコーチの三浦貴さんが大腸がんとの闘病の末に死去した。今月上旬までグラウンドを訪れてくれた恩師のため、ナインの甲子園への思いはより強くなった。2年生ながら5番を務め、先制打を含む3安打3打点の三井も「苦手だった守備を三浦先生に教えてもらって試合に出られるようになった。甲子園に行きますよ、と伝えたい」と胸を張った。

 西武で左投手として通算36勝を挙げた父・浩二さんと磨いた技術も光った。中学時代は週に1回は千葉県浦安市の自宅近くの室内練習場を借り、父が投げる“プロの球”で打撃練習。特に低めを打つ際の手首の使い方を教わり「手首の使い方は誰よりも柔らかい自信がある」と言う。言葉通り3回2死二塁で放った先制打は低めのフォークをうまく右前に運び「教え通り、うまく拾えた」と笑った。

 浩二さんは三浦さんのプロ最終年となった09年は西武で同僚だっただけに「ついこの間までは元気にしていたが…」と驚きを隠せない様子。それでも「雄心もお世話になったし甲子園ではもっと活躍してほしい」とさらなる恩返しを期待する。

 三井は大会前の体調不良の影響で先発復帰は準々決勝からとなったが、通算7打数6安打、打率・857で優勝に貢献。「いつも自分が中心で打線を引っ張るつもりでいる」と頼もしい。憧れだった甲子園では「父や三浦さん、みんなに感謝しながらプレーしたい」と誓う。天国の恩師、支えてくれる家族への感謝の思いも込め、聖地でフルスイングする。(村井 樹)

 ◇三井 雄心(みつい・ゆうしん)2006年(平18)6月19日生まれ、千葉県出身の17歳。桃井四小3年時から野球を始めた。高洲中時代は京葉ボーイズに所属。浦和学院では1年春からベンチ入りし、高校通算本塁打は30本。父は元西武・浩二さん。憧れの選手はロッテ・安田。50メートル走6秒7、遠投100メートル。1メートル80、82キロ。右投げ左打ち。

 ≪前監督ナイン成長称える≫森監督の父で21年夏まで浦和学院を率いた士氏はネット裏で優勝の瞬間を見届け「2年目の夏で甲子園を決めるのは立派」と称えた。今チームの3年生は森氏が監督ラストイヤーで1年生だった選手で「よくここまで成長してくれた」と目を細める。自身は13年選抜は制したが夏の日本一経験はなく「浦学として夏の全国制覇は大きな目標だが、志半ばで自分は辞めてしまった。そこにたどり着けるように頑張ってほしい」と思いを託した。

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