【コラム】西部謙司
欧州遠征の焦点
2018年03月23日 06:00
サッカー
初招集の中島はドリブルからのラストパス、シュートが特長。個で勝負できるタイプなので連係はあまり関係がない。速いだけでなく歩幅が小さいので、大柄な選手が多いヨーロッパにはあまりいないFWといえる。ウクライナ戦で活躍するのではないか。
久々に復帰した宇佐美はシュート力が図抜けている。守備はあまりできないし、ハリルホジッチ監督が望む縦のスペースへ走り込むタイプでもない。ただ、シュートの上手さがあるのでスーパーサブとしての可能性を探りたいのではないか。
中島と宇佐美については個人能力をあてにしているのだろうが、連係からの崩しでは森岡と柴崎に期待がかかる。ともに所属クラブではトップ下としてプレーすることが多い。アイデアを発揮してゴールに絡めるかどうか。インサイドハーフとしての適性も示すことができればワールドカップのメンバー入りも近づくだろう。
監督が右ウイングでの起用を明言している本田は、ハリルホジッチがイメージするウイングプレーヤーではない。チームとして求められている動きはしなければならないが、それだけなら久保や浅野に分があるわけで、本田は本田にしかできないプレーを見せる必要があるはずだ。個人での打開力もあるとはいえ、本領が発揮されるのは森岡や柴崎と一緒にプレーするときだろう。味方と連係しながら決定的な仕事をする、そこに本田の存在価値があると思う。
ハリルホジッチ監督が進めてきた縦に速い攻め込みは、FWの個人技に依存するところが大きい。ただ、それだけでは引かれてスペースを消されると苦しくなる。監督がまだ用意できていない攻撃を構築できるかどうかという点で、本田はカギを握っている。戦術に適合できずに弾かれるか、代えの利かない唯一の存在になるか。どちらの可能性もある。(西部謙司=スポーツライター)