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Jリーグ主催試合の観客動員記録 バイエルンVSマンC

2023年07月27日 08:00

サッカー

Jリーグ主催試合の観客動員記録 バイエルンVSマンC
<バイエルン・ミュンヘン・マンチェスター・シティ>試合後、談笑するバイエルンのトゥヘル監督(左)とマンチェスター・シティのグアルディオラ監督(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 バイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・シティの親善試合に6万5049人が国立競技場に詰めかけた。Jリーグ主催試合の最多動員記録だった。
 これまでの最多記録は2004年チャンピオンシップ第1戦の横浜F・マリノス対浦和レッズで64,899人。スタジアムは横浜FMのホーム、日産スタジアムである。その次は2019年の第34節、横浜FM対FC東京。これも日産スタジアムだ。

 新記録がJリーグの試合ではなく欧州勢同士のプレシーズンマッチというのは少々複雑な気もするが、バイエルンとシティという現在世界最高クラスのマッチアップを日本で観られる機会などそうはない。水曜日の夜にもかかわらずの記録樹立となった。ちなみに日曜開催だった横浜FM対シティも61,618人を集めていた。

 さすがにCL王者シティは日本でも大人気である。客層もライトからコアまで幅広い感じだった。Jリーグはもっとコアなファンの割合が多くなるが、シティは名前だけでも人を呼べるのだろう。世界中にシティのファンがいる。それはシティのプレーが素晴らしいというだけでなく、そもそもサッカーでは欧州が中心になっているからだ。

 欧州こそサッカーの本場であり、本場の本物だからこそ世界中に知名度がある。南米やアジアにいかに優れたチームがあろうと、シティのようなグローバルな存在にはならず、ローカルチームの域を出ない。

 かつて日本の音楽好きが聴いているのは主に米国発の曲だった。洋楽をいかに上手にコピーするかが焦点で、それが称賛されていたものだ。洋楽こそ本物で、本場は米国だったわけだ。今でもショウビジネスの中心は米国だけれども、日本の人々が洋楽ばかり聴いているわけではないし、日本の楽曲だからといって二流扱いされることもない。

 かつては洋楽で占められていたヒットチャートも日本の曲がトップということも普通になった。日本の楽曲が世界的に売れているわけではないが、ローカルの良さも認められていて、グローバルとローカルがごっちゃになっている。

 Jリーグも30年を経過して、かなりレベルが上がってきている。シティに5-3で敗れた横浜FMも2点を先行するなど健闘していた。シティには及ばないといっても、クオリティの高さは十分示せていた。グローバルな人気チームであるシティに集客力で負けるのは仕方ないとしても、クオリティの高いローカルチームである横浜FMはもっと多くの観客を集めても良さそうに思える。音楽事情でいうと、洋楽信仰が強かったころと現在の中間点ぐらいがJリーグの現在地なのかもしれない。(西部謙司=スポーツライター)

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