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ウイングのプレーメーカー化

2017年04月15日 06:00

サッカー

ウイングのプレーメーカー化
ブラジル代表MFコウチーニョ(リバプール) Photo By スポニチ
 ワールドカップ南米予選で好調のブラジルは4−3−3のフォーメーションでプレーしている。両ウイングのネイマールとコウチーニョは、カウンターアタックのときはスピードと突破力を生かして一気に相手ゴールを急襲するが、スローダウンしたときは中へ入ってパスワークの軸になっている。速攻のときはウイング、遅攻のときはインサイドハーフの役割を果たしているわけだ。
 一方で、MFの3人は守備力のある手堅いタイプを並べている。MFのパスワークはいまひとつの感はあるのだが、ネイマールとコウチーニョがプレーメーカー役をやってくれるのでバランスはとれている。スローダウンしたときのサイド攻撃はマルセロ、ダニエル・アウベスの両SBが担当する。

 ブラジルに限らず、プレーメーカーとウイングを兼任するプレーヤーが増えた。ウイング化するSBは昔からいるが、最近はSBがインサイドへ移動してボランチ化するケースもある。2つのポジションを行き来して役割を変えられるプレーヤーがいると、チームの攻守に変化をつけられる。対戦相手も慣れないうちは対応が後手に回る。

 日本代表の場合は、原口と久保の両サイドは基本的に上下動である。4−2−3−1のときはトップ下の「1」にクリエイティブなプレーヤーを起用して、パスワークの軸にしているが1人だけでは難しい。ボランチが組み立てを分担できればいいのだが、タイ戦のように守備型の2人(酒井高徳と山口)だと遅攻がいまひとつだ。現在の日本は速攻型の編成といえるかもしれない。

 ハリルホジッチ監督は以前起用していた柏木や大島をしばらく起用していないので、ボランチの加勢は考えていないのだろう。本田のウイング起用が現状での遅攻用の策になっているが、相手に引かれたときの攻撃のテコ入れをどうするかはまだはっきりした解がない。(西部謙司=スポーツライター)

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