【コラム】西部謙司
W杯ロシア大会出場に王手
2017年06月14日 19:10
サッカー
ハリルホジッチ監督は丁寧に予選を戦っている。相手の長所を消して、僅差でもいいか ら勝ち点を積み上げていくやり方だ。前回予選での日本に相手は関係なかった。ボールを支配し、圧倒的に攻め込み、あとは得点できるかどうかだけが焦点だった。しかし、日本もオーストラリアもサウジアラビアもかつての優位性はもうない。アジアの底上げがなされたのは確かだ。一方、日本などトップグループの成長が鈍化したともいえる。
相手によってメンバーを変え、戦い方も変えて結果を出すのは、ハリルホジッチ監督の得意とするところである。W杯ブラジル大会ではそれでアルジェリアをベスト16へ導いた。日本を率いるには相応しいタイプかもしれない。ただ、W杯でやるはずの戦い方がアジアで必要になっているのは残念だ。アジアとW杯で戦い方を変える必要はなくなり、アジア予選の延長線上でW 杯を戦えるので強化方針としてはすっきりする。しかしながら、アジアで日本が守備的な試合をしなければならないのは日本の後退を意味していて、アジアとW杯のギャップも縮まっていない以上、W杯での日本の立場はずっと厳しくなっていると考えられる。
ハリルホジッチ監督の指向するサッカーは、結果以外に将来につながるものは少ない。だからせめて結果だけは残してほしいのだが。(西部謙司=スポーツライター)