【コラム】西部謙司
気持ちの問題
2017年07月08日 06:00
サッカー
サッカーはだいたい2点とれば勝てるゲームである。1試合で入る得点は平均して2点台だからだ。これはどこのリーグでもそうで、ワールドカップでも1958年大会を最後に1試合平均3点以上になったことがない。リベロを置いて数的有利で守る戦術が普及してから、サッカーは明確にロースコアのゲームになった。
現在、リベロを起用するチームはほとんどないが、戦術が守備重視であることに変わりはない。そんなに得点できない以上、失点もできないのだ。Jリーグでは川崎フロンターレや浦和レッズなどは積極的に点をとりにいくサッカーを展開している。失点の少なさを競うのではなく、サッカー が本来そうであったように得点の多さで勝とうとしているチームだ。しかし、一方が攻撃しても対戦相手が守備重視ならやはりゲームはロースコアになる。
ただ、守るつもりのチームが先に失点してしまって攻撃に出たときには均衡状態が崩れて一気に点が入り出すことも少なくない。もちろん岐阜対千葉のように、最初から双方攻める気満々なら多くの得点が期待できる。
要は気持ちの問題なのだ。シュートやパスワークなど技術的な問題はあるだろうし、戦術的な課題もあるだろうが、現実に1試合で5点、10点が入る試合もあるわけで、その気になればサッカーは1試合平均2点台のゲームではなくなるに違いない。
サッカーはあまり点が入らないので面白くないという人がいる。あまり入りすぎるのもどうかとは思うが、今よりも一歩踏み出せば、3−2ぐらいの試合はおそらく簡単に実現するはずなのだ。(西部謙司=スポーツライター)