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超攻撃システムのカギは守備力 ポイントはウイングバックと2シャドー

2024年10月10日 02:30

サッカー

超攻撃システムのカギは守備力 ポイントはウイングバックと2シャドー
<サッカー日本代表練習>円陣で話をする森保監督(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 W杯予選前半の山場を迎える。アウェイのサウジアラビア戦、ホームのオーストラリア戦。この2試合に連勝するようなら、日本は一気に優位に立つことになる。
 中国、バーレーンに連勝、しかも12ゴールで無失点。最高のスタートを切った。3-4-2-1システムのウイングバックに「ウイング」を起用する超攻撃システムを今回も使うのだろうか。

 アウェイのサウジアラビアに対して、あれで行くのはさすがに調子に乗りすぎな気もするが、やってみる価値はあるかもしれないし、案外やるのではないかとも思っている。

 もしやるのであれば、ポイントはウイングバックと2シャドーの守備だ。

 1トップ、2シャドー、2ウイングの5人のアタッカーを使う以上、敵陣でプレーできなければ意味がない。これは大前提。ただ、ずっとボールを保持できるわけではないので、奪われたときに素早く守備を行い、そのまま相手を前進させない、カウンターもさせない守備力が問われる。

 中国、バーレーンは最初から守備を固めていた。出場枠がほぼ倍増した今予選は、これまでチャンスのなかった国々にもW杯出場の可能性が高まっている。グループ1、2位にならなくても、本大会へ進めるかもしれないから強豪には負けるにしても失点はなるべく少なくしたいからだ。

 自動的に敵陣へ前進できた2戦と、今回の2試合では相手が違う。そこまで簡単に敵陣へ入れるかどうかはわからない。ただ、そこに自信がないなら超攻撃的布陣の意味がないわけで、守備で引くことを想定しているなら過去2戦のやり方はそもそもやらないと思う。やるならば、敵陣でプレーする状態を続けるためにアタッカーたちの守備力がカギになるわけだ。

 相当な強度を維持できなければいけない。1960年代までならともかく、5人のアタッカーを並べて上手くいった例をあまり思いつかないのだが、今回の日本ならひょっとしたらやれるかもしれないと思わせるのは、アタッカーたちの守備面での献身性と人材の豊富さである。

 右に伊東純也か堂安律。左に三笘薫か中村敬斗、あるいは前田大然。2シャドーは久保建英、南野拓実、鎌田大地、さらに初招集の大橋裕紀。質量ともに十分。カーレースのタイヤ交換のように5つのポジションを総入れ替えできる。5人交代制は現在の日本にとって間違いなく追い風だ。

 敵陣なので、最悪ファウルで止めても構わない。とにかくボールへの猛烈なプレスとプレスバックを行うこと。カードを貰っても交代できるし、強度が落ちても交代できる。

 しかし、そうはいってもカウンターを受けることは何度かあるに違いない。その際にDFが広大なスペースを守り切れるかどうかもポイントになる。冨安健洋のいない3バックでしのげるかどうか。

 サウジアラビア、オーストラリアに通用するのであれば、W杯本大会でも超攻撃システムを使ういちおうのメドは立つ。カタールW杯なら、コスタリカ戦にやりたかった戦い方だろうか。これだけでベスト8は無理としても、戦い方の幅はずいぶん広くなる。(西部謙司=スポーツライター)

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