完投の投手大号泣 阿部慎之助育てた指揮官も驚き 智弁和歌山の6連覇止めた高野山が喜び爆発

2023年07月16日 04:00

野球

完投の投手大号泣 阿部慎之助育てた指揮官も驚き 智弁和歌山の6連覇止めた高野山が喜び爆発
<高野山・智弁和歌山>試合後に歓喜する高野山ナイン Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権和歌山大会2回戦   高野山4-2智弁和歌山 ( 2023年7月15日    紀三井寺 )】 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会が15日に各地で開催され、和歌山大会で波乱が起きた。1988年の夏以来34年間甲子園出場から遠ざかる高野山が、夏5連覇中の智弁和歌山を4―2で下す大金星を挙げた。背番号5の2年生右腕・酒井爽が2失点完投勝利を挙げた。
 夏5連覇中の常勝軍団を相手に投じた魂の122球。酒井は、完投勝利を挙げて重圧から解放されると、試合後にロッカー前で人目もはばからず大号泣した。コーチからねぎらいの言葉をかけられ、熱い抱擁を交わすと、うれし涙がとめどなくあふれた。

 「相手が強豪なので…自分たちの野球ができて、まさかこんなにいい試合をできて抑えられるとは思ってなくて、その喜びがこみ上げた」。背番号5の2年生右腕が、大金星の立役者となった。72歳の伊藤周作監督は「こんなことがあっていいんですか?野球は分かりませんね」と驚きを隠さず。中大監督時代、阿部慎之助を1年時から2年間育てた指揮官も、自チームが演じた番狂わせが信じられないようだった。

 酒井は被安打わずか4。三振も3個と少なかった。130キロ台の切れのある直球に加え、この日は「チェンジアップが良かった」と智弁和歌山打線を幻惑し、凡打の山を築いた。初回、5回の失点は犠飛と暴投によるもので、適時打は許さなかった。

 6回まで0―2の劣勢。7回1死からの3連打と、2死一、三塁からの3者連続四死球で一挙に3点奪って逆転した。伊藤監督は抑えにエースの石井亨明(2年)を投入するプランも考えたが、8回に入っても球速が落ちなかった酒井の姿を見て続投を決意。「今日はこいつを信じようと思ってやった。上出来!120点くらい」と目を細めた。

 春夏通算39度の甲子園出場を誇る名門に対しても、酒井は「自分たちは挑戦者なので“やったるぞ”という気持ちで」と、ひるまずに臨んだ。88年夏以来、35年ぶりの甲子園を目指す上で、最大の難敵を下して堂々の3回戦進出。それでも「智弁に勝っても油断はできない。ここからは優勝しか狙っていない」と自らに言い聞かせた。快進撃の予感が漂う。 (山手 あかり)

 ◇酒井 爽(さかい・そう)2006年(平18)5月17日生まれ、奈良県出身の17歳。小4から野球を始め小学生時代は田原本南リトルヤンキース、中学時代は田原本中の軟式野球部に所属。憧れの選手は吉田輝星(日本ハム)。最速は134キロ。1メートル73、71キロ。右投げ右打ち。

 ▽高野山 1886年(明19)に創立。世界文化遺産に指定されている高野山の山上に位置する。135年の歴史を誇る真言宗の学校。全国で唯一認可されている宗教科では、四国お遍路や僧堂研修などを行う。66年選抜、88年夏と、春夏通じて甲子園には2度出場しており、いずれも初戦敗退。

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