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【内田雅也の追球】大観衆に後押しされる戦いぶりこそ勝利を呼ぶ 7日からの西武戦で「食らいつく」姿勢を

2024年06月07日 08:00

野球

【内田雅也の追球】大観衆に後押しされる戦いぶりこそ勝利を呼ぶ 7日からの西武戦で「食らいつく」姿勢を
初回、前川は右飛に倒れる(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【交流戦   阪神1ー4楽天 ( 2024年6月6日    甲子園 )】 戦後1947(昭和22)年オフ、太陽ロビンスのオーナー・田村駒治郎は野球は「点を取る」競技だと「太」の点(ヽ)を取り、チーム名を大陽ロビンスに改めた。
 そこまでやるか、という話だが、勝負の世界では験直しもすれば、縁起もかつぐ。

 大リーグでは点が取れない試合が続くと、伝線したストッキングを贈ったりする。英語で野球の得点はrun(名詞)、伝線するもrun(動詞)を使う。得点(run)を贈るという語呂合わせである。

 阪神ではかつて、ベンチに盛り塩をしたり、時には打席に塩をまいたこともあった。

 今は、監督・岡田彰布が敗戦翌日に球場までの道順を変えたりする。この日はグラウンド入りする道を変えていた。普段、アルプススタンド横から出るのだが、ベンチ裏から出てきていた。験直しの意味もあったろう。

 縁起でも神頼みでも語呂合わせでも何でも構わない。いまの阪神はとにかく点がほしい。

 ところが、極貧と言える打線は相変わらずだった。楽天先発の技巧派左腕・藤井聖に8回途中まで3安打に封じられた。

 3回裏に梅野隆太郎と投手・西勇輝の長短打で1点は取ったが、あとは二塁さえ踏めなかった。

 打者は懸命に立ち向かっているのだろう。ただ打席内容はどうも淡泊に映ってしまう。藤井に対した打者26人中、5球以上投げさせた打者はのべ9人だった。

 「野球は消耗戦」という『マネー・ボール』の主人公、ビリー・ビーンは「アウトになっても、投手に5球以上投げさせた打席はプラスとみるべきだ」と選手の査定評価に盛り込んだ。

 そんななか、前川右京は6球(右飛)、8球(三振)、5球(三振)、4球(一ゴロ)と4打席で23球投げさせた。この日は左投手相手に初めて先発起用された。これまでは5打数1安打と打席が少なかった。結果は出なかったが、食らいつく姿勢は今の打線に必要なものかもしれない。

 甲子園は今季最多の観衆4万2625人だった。だが、7回裏、8回裏と攻撃が終わると、多くの観客が席を立った。9回裏は空席が目立った。

 阪神はこれまでもファンを味方に戦ってきた。大観衆の熱気と大歓声に後押しされる戦いぶりこそ勝利を呼ぶ。きょう7日からの西武3連戦も入場券は完売、大観衆が待っている。 =敬称略=
 (編集委員)

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