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日大三が連覇 エース安田虎汰郎126球1失点完投、12年ぶり全国制覇へ「まずは甲子園で勝ちたい」

2023年07月30日 05:00

野球

日大三が連覇 エース安田虎汰郎126球1失点完投、12年ぶり全国制覇へ「まずは甲子園で勝ちたい」
<日大三・日大鶴ケ丘>優勝を果たし歓喜の日大三ナイン(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権西東京大会決勝   日大三3―1日大鶴ケ丘 ( 2023年7月29日    神宮 )】 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場を懸けた地方大会は29日、6大会で決勝が行われた。西東京大会決勝は日大三が日大鶴ケ丘との「日大付属高対決」を制し、エース安田虎汰郎投手(3年)が1失点完投。2年連続19度目の出場を決め、11年以来12年ぶりの全国制覇を狙う。30日は東東京、大阪大会の決勝が行われ、全49代表が出そろう。
 夢だった。自分しかいないマウンドで人さし指を突き上げ、仲間にもみくちゃにされる。胴上げ投手に与えられる特権だ。安田は最後の打者を一飛に打ち取ると、カバーに入った一塁ベースから急いでマウンドに戻った。夢が現実となる。126球を投げ抜いたエースは「ここまで成長できたことがうれしくて…」と涙があふれた。

 憧れの先輩にも一歩近づいた。11年夏に日大三を優勝へ導いたエースの吉永健太朗に憧れ、同校へ入学。吉永の決め球シンカーをまねて、中学では同じように打者の手元で沈むチェンジアップを習得した。今年1月には初めて直接指導を受け「握りを教わり、変化量やスピードが変わった」という。安田は「チェンジアップ」と呼ぶが、決め球はより速く鋭く沈むシンカーへと変貌を遂げていた。

 絶体絶命だった同点の6回無死満塁でも蓄積したデータと決め球が救った。直球の最速は143キロでも「このスピードでも苦手なコースに投げれば抑えられる」と相手打線を徹底的に研究。映像を何度も見てノートに苦手なコースや特徴をまとめ、頭に叩き込んだ。この日も最大のピンチで5、6番は「低めが弱い」と、狙い通りに低めの直球とシンカーで連続三振。「あとは気持ちだった」と最後は内角直球で二ゴロに仕留めてガッツポーズを決めた。終盤の勝ち越しにつなげ、5安打1失点で完投した。

 昨夏の甲子園はベスト4の聖光学院(福島)に初戦敗退。救援した安田も1回1/3を1失点と苦い思いをし「まずは甲子園で勝ちたい」と誓った。「吉永さんとは比べものにならないのでまだチェンジアップと呼んでます」とも明かした右腕。偉大な先輩以来となる全国制覇を果たした時、初めて「シンカー」と口にすると、心に決めている。(村井 樹)

 ◇安田 虎汰郎(やすだ・こたろう)2005年(平17)5月27日生まれ、千葉県出身の18歳。湊小2年から野球を始め、鴨川中時代は袖ケ浦リトルシニアに所属。日大三では1年秋からベンチ入りし、昨夏の甲子園も経験した。好きな言葉は「先発完投」。50メートル走6秒3、遠投100メートル。1メートル76、73キロ。右投げ左打ち。

 ≪名将後継、初の胴上げ≫新旧の指揮官がナインに胴上げされ、そろって歓喜の涙を流した。4月から指揮を執り、夏連覇に導いた三木有造監督は「苦しかったんですけど、選手が本当によく頑張ってくれた。胴上げされたのは初めて。いいもんですね…」とかみしめた。01年夏、11年夏に全国制覇した名将・小倉全由(まさよし)監督(66)が3月で退任。同校で26年間、監督、部長としてタッグを組んだ三木監督が後任となった。ネット裏で見守った小倉前監督は「甲子園で“強い日大三”をもう一回つくってもらいたい」と期待を寄せた。

 ≪父は三木監督とバッテリー、針金先制弾で貢献≫チーム初安打となる先制ソロを右翼席へ運んだのが、1メートル92の大型外野手・針金侑良(3年)。2安打1打点、2四球で優勝に貢献し「打った瞬間、入ったと思った。自信を持って振れた」と胸を張った。父・義雄さん(49)も日大三OBで、同学年で捕手だった三木監督とバッテリーを組んでいた。2年連続の甲子園出場も決まり「よく迷わず振り抜いた。(三木監督は)ここまでやってくれているので信じるだけです」と喜んだ。

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