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ミスは必ずある、助け合って取り返せるチームが強いのだ 延長激闘の一戦に見た“優勝の条件”

2023年07月30日 08:00

野球

ミスは必ずある、助け合って取り返せるチームが強いのだ 延長激闘の一戦に見た“優勝の条件”
<神・広>初回、大山は先制犠飛を放つ(撮影・後藤 大輝) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神2―2広島 ( 2023年7月29日    甲子園 )】 【畑野理之の談々畑】いいゲームだった。延長12回、4時間56分。広島23選手、阪神21選手が出場した。8回に2―2になってからは、どちらが先に、どうやって1点を取るのだろうと見入ったが、決着はつかなかった。
 本誌評論家の広澤克実氏と野球を見ていると、よく聞く言葉がある。「ミスをした方が負ける、と言われるが、ミスを取り返せなかった方が負けるのだと思う。野球は人間がやるスポーツだからミスは必ずある。バントのミス、走塁のミス、それに守備のエラーもある。ミスをした選手が取り返すのが一番いいが、周りの選手がカバーしてあげてもいい」

 両チームにやはりミスはあった。阪神は初回の守りで無死一塁から野間峻祥の二ゴロで4―6―3と渡った送球を一塁手の大山悠輔が後逸。併殺を取れず、致命的にはならなかったものの先発の青柳晃洋に迷惑をかけた。しかし大山は初回裏の1死一、三塁で先制の中犠飛を放った。直前の無死一、三塁で空振り三振をした森下翔太を救ったとも言える。失策は帳消しにはならないが、少しは名誉挽回できた。

 広島は8回に無死一塁から代打の磯村嘉孝がバントで送れなかったが、小園海斗が左中間へ同点の適時二塁打。磯村を救った。両チームとも誰かがすぐにカバーしていた。

 本紙評論家の能見篤史氏は、先ほど発刊した『能見さんの美学』(ベースボールマガジン社)の中で、救援失敗した投手の心情をつづっている。「一番こたえるのは、先発投手の勝ちを消してしまったとき、終わったことだと思おうとしても、そのピッチャーの顔が浮かんでくる」。試合終盤に投げるほど背負うものが大きくなって重圧は計り知れないという。自身のプロ18年間の経験則でもある。

 1点リードの8回に登板した2番手の加治屋蓮と3番手の岩貞祐太は、追いつかれて白星を消してしまった青柳の顔が浮かんでいるかもしれない。ただ、助けてあげることもある。投手が野手を、またその逆もある。

 ヤクルト、巨人、阪神の3球団でリーグ優勝を経験した広澤氏は、投手と野手が助け合う数が多いチームが強い、そしてペナントレースを制する条件だとしている。岩貞や加治屋に助けられた試合は何度もあった。次はやり返す番。挽回するチャンスは、まだまだ多く残っている。

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