大谷翔平 メジャー初完封の舞台裏 女房役チャディが語る「打者2巡目から僕がサインを出し始めた」

2023年08月03日 14:50

野球

大谷翔平 メジャー初完封の舞台裏 女房役チャディが語る「打者2巡目から僕がサインを出し始めた」
7月27日のタイガース戦、完封勝利を収め、捕手のウォラクと笑顔で見つめ合う大谷(AP) Photo By AP
 7月29日。ブルージェイズの本拠地ロジャーズ・センター。練習後のグラウンドでエンゼルスの捕手ウォラクに声を掛けた。2日前の27日のタイガースとのダブルヘッダー第1戦でメジャー初の完封勝利を挙げた大谷について聞きたかった。「いいよ。中でゆっくり話そう」。1メートル88、111キロの巨体をかがませながら、ベンチ裏で取材は始まった。
 通算83試合目の登板で初の完封勝利。中継映像を確認すると、大谷は少なくとも4回から自分で出していたサインを、捕手ウォラクに任せていたように見えた。そのことを告げると、ウォラクは「打者2巡目から僕が(ピッチコムで)サインを出し始めたんだ。彼(大谷)のアイデアだ。本当に上手くいった」と説明した。完全投球で迎えた4回の先頭打者がちょうど2巡目に入る1番打者だった。

 「翔平が僕に“セカンドオピニオン”を聞きたかったのか分からないが、一緒に攻め方を考えたかったんだと思う。序盤の(球速などの)数字は本当に素晴らしいものだった」

 6月末から割れた右中指の爪やマメの影響で満足な投球ができていなかった。約1カ月を経て、完治。大谷も「指の状態も良かったし、投げ心地も、動き方もしっくりはきていた」と納得の表情を浮かべていたのが印象的だった。

 全111球中、直球は今季最多56%(62球)。最速99・5マイル(約160キロ)の直球は球速以上に質の良さを感じさせ、ウォラクは「ブルペンで彼の直球の感触がとても良いことがすぐに分かった」と回顧。今季の勝負球のスイーパーは23%(26球)に抑え、タイガース打線を戸惑わせた。

 大谷の今季20登板中、最多の14登板でマスクを被るウォラク。大谷らナインからはファーストネームのチャドから「チャディ」と呼ばれ親しまれている。打撃でも渋い働きを見せ、7月30日のブルージェイズ戦ではタイブレーク制の延長10回無死二塁で代打犠牲バントを決めたかと思えば、31日のブレーブス戦では7号ソロを含む3安打1打点で勝利に貢献した。

 大谷の次回登板は3日(同4日)の本拠地マリナーズ戦。10勝目の白星となれば、史上初の2年連続での「2桁勝利&2桁本塁打」達成となる。ウォラクは言った。

 「(完封勝利した)前回と同じようなことになると思う。最初に彼が(ピッチコムで)サインを出して、その後、その役目は私に交代する。彼が何か他の球種を投げたい場合、希望するピッチコムのボタンを押すだけ。これからも続けていくと思う」

 48試合出場は既にキャリア最多。メジャー7年目の31歳が「投手・大谷」とどんな未来をつくるのか注目している。(記者コラム・柳原 直之)

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