【内田雅也の追球】デジャビュより、次への備えを 姿勢を正して戦えているなら問題ない

2023年08月03日 08:00

野球

【内田雅也の追球】デジャビュより、次への備えを 姿勢を正して戦えているなら問題ない
<中・神(17)>ベンチ前で選手を迎える阪神ナイン Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神1ー3中日 ( 2023年8月2日    バンテリンドーム )】 阪神は戸惑った。相手中日先発のウンベルト・メヒアが3回で降板したのは想定外だったろう。4回以降、まるで「ブルペンデー」のような小刻み継投の前に、1安打と対応できなかった。近本光司のソロ以外は二塁すら踏めなかった。
 デジャビュのように、同じ名古屋で同じような小刻み継投にやられた記憶が2度ある。

 一つは昨年7月1日、同じバンテリンドーム。予告先発のエース大野雄大が背中の張りで当日に登板を回避。急きょ先発した藤嶋健人をはじめ、8人継投の前に1点しか奪えずに敗れた。

 もう一つは1992年10月9日のナゴヤ球場。中日はシーズン最終戦。監督・高木守道が前日に救援右腕の鹿島忠を先発起用し主力5投手の登板を公表していた。優勝争いをしていた阪神はこの継投に0―1で敗れた。

 この夜も含め、いずれも中日は最下位だった。通常では見られない継投策にあった場合、打線が戸惑うのは昔も今も確かなようだ。二度あることは三度あったわけだ。

 ただし、こんな継投はあくまで特別である。特例をいつまでも悔やんでいては、毎日が勝負のプロ野球ではやっていけない。早く忘れて、次に備えることだろう。

 打線は沈黙していたが、三塁側阪神ベンチを見れば、全員が前のめりの姿勢でいた。

 この夜、早期降板したメヒアはパナマ出身だった。パナマの英雄、大リーグで本塁打王にもなったベン・オグリビーを思う。1987年、担当記者だった近鉄に入団してきた。試合中、ベンチに猫背で座っていた選手の背筋を伸ばして回った。前傾姿勢を取らせ「戦う姿勢はこうだ」と正していた。当時監督の岡本伊三美から聞いた。

 また、全選手が帽子をかぶっていた。今は監督の岡田彰布が昨年までの評論家時代、帽子を脱いでいる姿を嘆いていたのを思い出す。

 野球批評家、草野進が選手の<無帽姿>を<だらけた日常が顔をのぞかせたようで不快感すら覚える>と指摘している=『どうしたって、プロ野球は面白い』(中央公論社)=。プロならば着帽があるべき姿だろう。

 つまり、敗れたとはいえ、阪神は戦う姿勢でいた。まだまだ勝敗に一喜一憂する時期ではない。猛虎たちは、姿勢を正して戦えている。 =敬称略=
 (編集委員)

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