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江戸前の“守り神”として役割果たす 東京湾遊漁船業協・中山理事長 東京湾に生き、東京湾を守って50年
2024年02月27日 04:30
社会
理事長に就任して約半年。ネクタイ姿も似合ってきたように思うが。
「想像以上に大変ですよ。対外的に業者、関係諸団体、行政にも対応しないといけない。組合員間の調整役もしないといけないしね」
週に4回は東京都品川区内にある組合事務所に通う日々を送っている。
30歳のときに創業した釣り宿、中山丸は長男の勝之さん、次男の和哉さんの“兄弟船”で川崎の人気釣り宿に成長。中山さんも毎日のように自身でかじを握ったり、仲乗りとして海に出た。だが現在は「朝、出船のとき見送ってからこちらへ出勤します。土・日曜日は“お客さんの気持ちが分かるように”船に乗っています。ストレス解消になりますね」。
「東京湾に生き、東京湾を守る」が組合のモットー。年に3回、カサゴと黒メバル、マコガレイの稚魚放流、羽田沖の浅場造成と清掃事業も行っている。
「自分の人生も東京湾とともにありました。今までの事業を継承していきます」
放流事業など、全国的にも話題になることが多い江戸前の海の“守り神”として役割は大きい。さらに…。
「コロナ禍で休止していた親子釣り教室など、子供たちが参加できるようなイベントも再開していきます」
それは「未来を担う子供たちに東京湾のことを知ってほしい」の思いからだ。
元は釣り人。好きが高じて中山丸を創業した。東京湾の変容を見続けてきた。
「昔と比べて海も違えば景色も違います。半世紀前、釣り物の中心はマコガレイ、ハゼ、アイナメ。いま一年中釣れているマアジは主に冬場の釣り物でした」
「昔は良かった」と思っているからこそ、魚資源の保護も組合が果たすべき役割だと思っている。
「釣れる魚の数を制限するバックリミットも、いずれは取り組まなければならないテーマでしょうね」
遊漁船の船長から一大組織のかじ取りを任される立場に。中山理事長の手腕に期待が寄せられている。
【記者の目】性格は温厚にして篤実。何より見た目も格好いいオヤジだ。以前、川崎の銭湯でばったりと顔を合わせた。お互い裸。鍛えられた大胸筋とぜい肉のないボディーが異彩を放っていた。これもウエートトレーニングのたまもの。「週2回ジムに通っています。健康のためですよ。いまは腕立てとか懸垂とかをするだけ」。バイクツーリングが趣味で以前はハーレーに乗っていたとか。古希を過ぎているなんて信じられません。