フィッシングニュース
甘くなかったアマダイ 竿頭8匹、師匠5匹…ほろ苦初挑戦
2024年03月05日 04:30
社会
個人的には釣れなくてもいい。だが、船長への恩がある。乗船後、竿の置き台の設置に始まり、電動リールの使い方、餌の付け方、仕掛けの投げ入れ方、竿の動かし方など全て丁寧に教えてくれた。途中で「竿を動かし過ぎです。少し待ちましょう」と助言ももらった。これで0匹では申し訳ない。
時刻は午後1時過ぎ。開始から既に5時間が経過している。納竿まであと1時間半。焦る。こんなに焦るのは大きなニュース原稿を抱え、締め切り時間が間近に迫った時くらいだ。けれど、いくら右往左往してもアマダイが同情してくれるわけではない。ようやく手応えを感じて糸を巻き上げたが、掛かっていたのはこの日2匹目のトラギスだった。「はい。今日はここまでです。お疲れさまでした」。船長の冷静な声が船中に響き渡った。
しかし、この日の釣りもやはり愉快だった。心配していた風も強くならず、午後は上着が不要なほど暖かかった。そして、真正面に雪化粧の富士山。その美しい姿をながめながら海に仕掛けを投げ込む時の豊かな気分は陸上では得がたい。
何より楽しかったのは、約3カ月ぶりに師匠・柿ノ木早苗さん(銀座のバー「Cavallo」経営者)と同行したことだ。
「今日は一睡もしないで来ました」と師匠。もちろん、遠足を前にした子供が興奮して眠れなかったのとは訳が違う。深夜まで続く仕事のため睡眠時間を確保できなかったのだ。師匠の釣りへの情熱は半端ない。「上州屋にアマダイ用の仕掛けを買いに行ったのですが、アマダイ専用竿まで衝動買いしてしまいました」。その熱さが、一緒にいて心地いい。
この日の竿頭は8匹で、師匠は5匹。焦る小生の隣で淡々と動作を繰り返し、しっかりと結果を残すところはさすが師匠だ。その冷静さ、地道さを見習わなくはいけない。
しかし、小生にも成果はあった。アマダイは0匹だが、ホウボウ、ハナダイ、ガンゾウビラメ、トラギス2匹の計5匹を獲得。特に、ホウボウは胸びれを開いた姿が美しく、釣り上げた喜びを強く感じた。
帰りの船の上で、こんなことを考えた。人生は思ったより短い。同じように釣りの時間も思ったより短い。アマダイには完敗したが、このひとときに乾杯しよう。
≪餌の付け方逆に≫ 師匠には餌の付け方に関して助言をもらった。小生は当初、右手にオキアミ、左手にハリを持っていたが、逆に変更。オキアミの尻の部分をハリに刺した後、当初はハリの方を動かして付けていたが、オキアミの方を動かして付けるようにした。すると、確実に以前より作業が滑らかになり、時間短縮につながった。さすが師匠、いろんな機微に通じている。
▼釣況 東日本釣宿連合会所属、小網代・丸十丸=(電)046(881)0100。出船は午前8時。乗合料金は1万円。