江戸時代にキリスト教が禁止され、隠れることを余儀なくされた「隠れキリシタン」が住んでいた伝説があると聞いて、白井地区に向かった。天空回廊から車で約15分の、小高い丘の上の小さな集落。江戸時代に関所が置かれ、長野・佐久地方から一日に十石(約1500キロ)の米が運ばれてきたことから名付けられた「十石峠」の登り口にたたずむ。観光用の休憩所が設けられ、横の案内板では隠れキリシタンが残した形跡を案内している。
その一つが関所跡のイチイの巨木の近くにある墓石。米問屋・黒沢藤兵衛の墓といわれ、6つの穴が十字型にかたどられており、確かに隠れキリシタンの墓を思わせる。案内板近くの掲示板には「きり志たん」の文字も見られ、隠れ存在説は信憑性がありそう。長崎から上野村まで約1300キロ。彼らはこの距離をどう移動してきたのか。想像しただけで胸が熱くなった。