江戸時代、一部が幕府の直轄地の天領だった上野村。上山郷、中山郷、下山郷の三郷に分けられ、そのうち上山郷の大総代を務めていた旧家が、上信越道下仁田ICから車で約35分の「旧黒澤家住宅」(入館料300円)だ。19世紀中頃の建築と考えられ、間口22メートル、奥行き16メートルの総2階の栗の板葺きの切妻造りで、門を入った瞬間、その規模の大きさに圧倒される。
建物の南側には日常的に使用した「大戸口」、村の行事時などに使った「むらげんかん」、特別客を迎えた「式台」の3つの玄関があり、囲炉裏のある「ちゃのま」は天井が吹き抜けで31畳半もの広さ。西側には「上段の間」「中段の間」「中の間」「休憩の間」の4つの座敷が整然と並び、当時の旧家の重要性と面影をよく現していた。2階は展示コーナーで、養蚕や機織り、紙すきの民具などを展示。国指定重要文化財。問い合わせは同村教育委員会=(電)0274(59)2657。