ヤマハ ピッチクロックで幻V打も…“打ち直し”決勝打 3年ぶり初戦突破

2023年07月19日 05:05

野球

ヤマハ ピッチクロックで幻V打も…“打ち直し”決勝打 3年ぶり初戦突破
<都市対抗 ヤマハ・日本製鉄鹿島>5回、吉田の時にピッチクロックで0の時に打撃となり時間超過となる(撮影・郡司 修) Photo By スポニチ
 【第94回都市対抗野球第5日1回戦   ヤマハ7-3日本製鉄鹿島 ( 2023年7月18日    東京D )】 1回戦3試合が行われ、ヤマハ(浜松市)は7―3で日本製鉄鹿島(鹿嶋市)に逆転勝ち。今大会から導入の「ピッチクロック」で2―2の5回2死一、二塁から吉田有輝外野手(26)が放った勝ち越し打を取り消されたが、続く矢幡勇人外野手(33)が決勝3点三塁打を放った。東海理化(豊川市)は日本製鉄かずさマジック(君津市)を6―4で、東芝(川崎市)は七十七銀行(仙台市)を8―3で下した。
 ピッチクロックによる幻のV打にも、意気消沈することはなかった。2点を追いついた5回は、なおも2死一、二塁。吉田がフルカウントから右前に勝ち越し適時打を放った、はずだった。だが、すぐさま審判団が集まり協議。得点は認められなかった。

 実は吉田が右前打を打つ直前に、相手先発・山口直が投球動作までに20秒を超えていた。一塁塁審は大きなジェスチャーでタイムをアピール。ルールでは1度目は「警告」となることから、即ボールデッドとなり、その間に打った打球は無効となったのだ。

 室田信正監督は「流れの中でのことで、そのままでいいのでは」と抗議したが、審判団から「ルールなので」と説明を受けて引き下がった。適時打が取り消された吉田も「うそやろ!」と最初は驚いたというが、気持ちを切り替え、仕切り直しとなった6球目を見極め四球で出塁。満塁と好機を広げ、3番の矢幡につなげた。

 「吉田の方がプレッシャーがかかったはず。塁が埋まって甘い球をしっかり打てた。吉田のおかげですよ」

 矢幡は冷静に初球を狙い澄ます。打球は右越えの3点三塁打となり、試合の流れを大きく引き寄せた。逆転勝ちで3年ぶりの初戦突破。指揮官もまた、動揺することなく四球を選んだ吉田を称える。

 「ほんと吉田の四球が大きかった。うちにとってはいい方向に転んでくれた」

 スピードアップ特別規定として今大会から導入された「ピッチクロック」により生まれた思わぬドラマ。一度はそっぽを向いたように見えた勝利の女神は、ヤマハにほほ笑んだ。(落合 紳哉)

 ▼日本製鉄鹿島・中島彰一監督(5回のピッチクロック適用について)あのプレーでこちらに流れを持ってきてほしかった。残念。

 ▽ピッチクロック 試合時間短縮を目的に投球間に制限時間を設けるルール。MLBでは今春から採用し、一定の成果を収めている。社会人野球でも今春のスポニチ大会から実施。投手は走者がいない時は12秒以内、走者がいる時は20秒以内に投球動作に入らなければならないほか、けん制球の回数なども制限している。今大会では時短の意識を高めるためバックネット裏と一、三塁ベンチに計4台のクロックボード(タイマー)を設置。この日まで20秒ルールによる警告は3度発しているが、12秒ルール違反はない。

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