【王将戦】菅井竜也八段 振り返れば魔の桂跳ね、響いた初日の致命傷

2024年01月22日 05:20

芸能

【王将戦】菅井竜也八段 振り返れば魔の桂跳ね、響いた初日の致命傷
<第73期ALSOK杯王将戦第2局・2日目>昼食を終え考え込む菅井八段(撮影・光山 貴大) Photo By スポニチ
 【第73期ALSOK杯王将戦第2局第2日 ( 2024年1月21日    佐賀県上峰町・大幸園 )】 菅井竜也八段(31)は見せ場を全くつくれずに連敗を喫した。藤井とのタイトル戦では8戦連続で三間飛車をぶつけたが、20日の第1日で致命的な失着を犯し、失地を回復できないまま無念の早期投了。第3局以降で巻き返しを期すしかない。
 午前9時の対局再開から小一時間経過した控室で、正立会の小林九段が「もうすぐ終わってしまうのでは」と思わずつぶやく。「菅井さんにはもう、有効な指し手がありません」と続けたのは副立会の糸谷八段だ。手数は50台半ばで、通常ならまだまだ中盤戦。なのに局面には挑戦者の終局ムードが色濃く漂っていた。

 魂が抜けたようなしぐさで指し続けた菅井は、午後3時のデザートを辞退。視線は盤上ではなく中空をあてもなく行き来した。午後3時26分、姿勢を正して駒台に右手をかざす。「(第1日の)封じ手の少し前に敗着を指してしまいました。話にならないです」と、割り切った表情で痛恨の心境を吐露した。

 菅井の言う敗着とは20日の黄昏(たそがれ)時に指した46手目△4五桂(第2図)。その直前、藤井の45手目▲7四歩に対し「同銀と取る手しか考えてなかったんですが…。なんで4五桂と指したのか、自分でも分からない」と激しく悔やむ。

 石田流で3三に進めた桂を5段目に跳ねるのは自然な一手でもある。穴熊に組んだ相手王の逆サイドからじりじりと攻める手筋にさほど違和感はない。ところが藤井の居城に攻め入るどころか、脅かすことさえできなかった。第1日に構えたダイヤモンド美濃囲いを少しずつ剥がされる。1筋から竜でにらみを利かされる。中央にと金をつくられる。真綿で首を絞められるような状態だ。攻めに転じようにも継続の可能性はなく、第2日は終始、空虚な時間を過ごすしかなかった。

 「きのう(20日)からダメにしてしまいました」

 振り返れば7、8日の第1局も相手穴熊を攻略する寸前、痛恨の読み抜けで敗戦。2局連続で敵の堅陣をこじ開けることができなかった。第3局以降はなんらかの工夫が求められる。開催地の島根は地元・岡山の隣県だ。「昔からよく行っている場所。少しでもいい将棋を指せるよう頑張ります」。屈辱の感想戦をわずか22分で終え、次なる戦いに目を向けた。

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