「伝説の三段」49歳立石アマが公式戦初勝利 17歳で奨励会退会、大学進学、小児科開業を経て

2024年06月04日 18:59

芸能

「伝説の三段」49歳立石アマが公式戦初勝利 17歳で奨励会退会、大学進学、小児科開業を経て
第14期加古川青流戦トーナメント戦で、1回戦に勝利後の2回戦で井田明宏四段(左)に敗れた立石径アマ Photo By スポニチ
 将棋の第14期加古川青流戦トーナメント戦が4日、大阪・関西将棋会館で指され、立石径アマ(49)が貫島永州三段(25)に112手で勝利し、公式戦初勝利を飾った。立石アマはプロ目前の奨励会三段に昇段後、26歳の年齢制限を大きく下回る17歳で退会し、大学進学を経て小児科医になった「伝説の三段」。午後からの2局目、井田明宏四段戦は88手で敗れ、公式戦連勝とはならなかったが「納得いくまでやってみたい。努力しきって、これ以上ないとなれば次のことを考えたい」。今後も公式戦出場の機会を探っていくという。
 対局には師匠・故有吉道夫九段譲りのネクタイ姿で臨んだ。また扇子は奨励会時代、10秒将棋を教わった小説「聖の青春」の主人公・故村山聖九段の「大局観」、そして師匠の「夢」の2本を持参した。

 伝説の一つに、1991年の第59期棋聖戦第1局でのエピソードがある。南芳一棋聖に谷川浩司竜王が挑み、相矢倉からの際どい終盤戦を先手谷川が制した。

 まだAIのなかった時代。感想戦でも両対局者、立会人ら7人がかりで谷川王は詰まないと結論付けられたがその後、記録係を務めた当時三段の立石アマが、谷川王の23手での即詰みを副立会人を通じて伝えた。南、谷川はともに2冠。打ち上げの席で、連盟会長も務めた原田康夫九段が2冠と2冠を合わせて「立石4冠王」と称えた。

 周囲からの期待の大きさ、そして自らの葛藤から「逃げた形になった」と振り返る、17歳での奨励会退会。高校中退後、16歳で大学入学資格検定(現在の高等学校卒業程度認定試験)に合格していた立石アマは、神戸大医学部に進学。小児科医になり現在は兵庫県三田市で開業する。恵まれた2児が、将棋に興味を抱く姿に触発され、17歳当時の思いが「このまま終わっていいのか?」と再燃した。

 同時期に奨励会で修行した元王将、久保利明九段(48)はこの日の対局をネット中継で見守り「今でも三段の実力は維持していると感じた。励みになるし、自分自身頑張らないと、と思った」。昨夏、立石アマ、矢倉規広七段(49)の同期で研究会を開き、復帰を祝っていた。

 今月6日に第1局を迎える棋聖戦では山崎隆之八段(43)、7月6日開幕の王位戦では渡辺明九段(40)が藤井聡太8冠(21)に挑む。今夏の新キーワードは「40代の逆襲」。現在49歳の立石アマも40代だが、「私は50代が近いので」。苦笑いとともに、30年以上ぶりに足を踏み入れた関西将棋会館5階の対局場から去った。

おすすめテーマ

芸能の2024年06月04日のニュース

特集

芸能のランキング

【楽天】オススメアイテム