峰不二子声優の増山江威子さん死去 赤塚不二夫さんも“愛した”声 キャラ守るため自身の露出控える

2024年06月04日 05:30

芸能

峰不二子声優の増山江威子さん死去 赤塚不二夫さんも“愛した”声 キャラ守るため自身の露出控える
増山江威子さん(青二プロダクションHPから)
 「ルパン三世」の峰不二子役や「キューティーハニー」の如月ハニー役で活躍した声優の増山江威子(ますやま・えいこ)さんが5月20日、肺炎のため都内の病院で死去した。88歳。東京都出身。告別式は近親者で行った。色気たっぷりな大人の女性から純真な少女まで幅広く演じ、声の演技で男性だけでなく女性も魅了した。
 甘い声で「ルパ~ン」とささやいたかと思えば、銃をぶっ放してお宝を狙う女怪盗、峰不二子に命を吹き込んだ増山さんが逝った。所属事務所によると、かねて療養していたが、治療のかいもむなしく息を引き取ったという。最後の仕事は昨年、収録に参加した日本テレビアニメ「アンパンマン」。昨年6月には10代の頃から親交があるタレントの毒蝮三太夫(88)のYouTubeに声のみで登場。毒蝮から「顔も声も若々しいまま」と言われ、増山さんは明るい声でトークした。

 4人姉妹の末っ子として生まれ、幼い頃はバレリーナを目指していたが肺病になったため断念した。その後は児童劇団、毒蝮らが所属した「劇団山王」を経て、「劇団四季」に所属。海外映画の吹き替えなどをこなすうちに、声優に興味を持った。家庭や子育ての両立のため、比較的短時間で稼働できる声優業に専念。1960年代から「青二プロダクション」に所属し、テレビアニメの黎明(れいめい)期を支えた。

 艶がありながら、どこか品のある声が特長。毒蝮のYouTubeでは「末っ子の甘ったれだから早口で話せないけど、それが味になってお仕事につながった」と話している。アニメ「キューティーハニー」で変身ヒロインを演じた一方、「天才バカボン」シリーズではバカボンのおしとやかなママ役。原作者である漫画家の故赤塚不二夫さんが「ママの声だけは変えないでほしい」と唯一希望し、4度のアニメ化で一度も声優が代わらなかった。

 希代のセクシー美女にして悪女である「ルパン三世」の不二子役は77年のテレビ第2期から、70代となる2010年まで担当。増山さんは「小悪魔的魅力があって、健康的な色気を大事にして演じた」と過去に語り、ルパンのみならず青少年ファンも魅了した。

 昨今は顔出しする声優も多いが「キャラのイメージを壊してしまう」と、顔出しに積極的ではなかった。年を重ねても色気のある女性役を務めることが多いため、自らの露出を控え作品世界を守るスタイルを貫いた。セクシーでキュートな声は、これからもファンの心に残り続ける。

 増山 江威子(ますやま・えいこ、本名非公表)1936年(昭11)4月22日生まれ、東京都出身。劇団山王、劇団四季を経て、1960年代から声優中心の活動にシフト。「ルパン三世」シリーズの峰不二子らメインキャラクターの声を数多く担当した。21年声優アワードで「功労賞」を受賞。

 ▼栗田貫一(「ルパン三世」ルパン役で共演) 私にとっていつもエレガントで憧れの不二子ちゃんでした。私のルパン初収録時の納谷さん、モンキー先生、井上さん、小林さん、そして…増山さん。全員旅立ってしまい残念でなりません。

 ▼沢城みゆき(「ルパン三世」峰不二子役を継承) なんか許せちゃう永遠のマドンナ、増山さんの不二子ちゃんの大ファンです。心から、ご冥福をお祈りいたします。

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