「セクシー田中さん」問題で小学館が報告書公表 原作者の意向反映されず、日テレの対応に「第一の問題」
2024年06月04日 05:30
芸能
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芦原さんが修正を重ねることになった一因とみられるのは、原作者側と制作者側の情報伝達の機能不全だ。脚本家の相沢友子氏が脚本を書き進めていく段階で、芦原さんから求められた修正事項が制作者側に一切伝えられていないことがあったと報告している。
小学館は、日テレが作者と脚本家との間を調整するという役割を果たしていない可能性があると指摘。また、相沢氏への聞き取り調査から、芦原さんの意向よりも監督や制作陣の意見を反映させていた可能性も示唆した。「原作に忠実に」という意向のもとに何度も申し出た修正に対応しなかった日テレの姿勢を「異例と思われる」と批判した。
日テレの調査では「調査対象外」とされていた芦原さんの死の経緯。小学館の報告書は「脚本家のSNS投稿により重大な局面を迎える」と記した。
放送されたドラマは芦原さんの意向にかなうものになったというが、最終回放送日に相沢氏がSNSで「過去に経験したことのない事態で困惑」と脚本を芦原さんと交代していたと明かした。実は制作者側は、相沢氏が脚本などを巡り不満を持ち、それを投稿する恐れがあると事前に把握していたという。だが、原作者側が投稿への対応を求めても進展せず、芦原さんは連載中の「セクシー田中さん」の作画ができないほど悩むことになった。
相沢氏は、その4日後にも「私が脚本を書いたのは1~8話で、最終的に9・10話を書いたのは原作者」と投稿。だが、日テレは法的根拠をもっての取り下げ願いは難しいとし、対応しなかった。
相沢氏への“連投”へのアンサーとして、芦原さんが今年1月、日テレ側とのトラブルにより脚本を自ら執筆したことを告白。相沢氏に非難が集中し、芦原さんは「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」とつづった。報告書は「責任の重圧を感じたのかもしれない」とし、その後死去しているのが発見された。
小学館は、日テレの緩慢な対応を疑問視するとともに、自らのSNS対応について「責任者が不在であった」と反省点を挙げた。SNS炎上に対する対応部署の設置を進め、広報や法務と連携を図る体制づくりを進めるとした。また、映像化の検討段階から文書を作成し、作家の意向を第一に尊重しながら制作者側と協議するとの指針を公表した。
◇「セクシー田中さん」を巡る経過
▽23年10月22日 ドラマ第1話が放送
▽12月24日 ドラマの最終回が放送
▽28日 相沢氏が「苦い経験」だったとSNSに投稿
▽24年1月26日 芦原さんがSNSに制作の経緯を投稿、日テレや相沢氏への批判が噴出する
▽28日 芦原さんが「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と投稿
▽29日 芦原さんの急死が判明
▽2月8日 小学館が再発防止に努めると発表。相沢氏が投稿を深く後悔、反省していると表明
▽15日 日テレが社内特別調査チームの設置発表
▽22日 日テレが放送予定の漫画原作のドラマ制作を見送ったことが判明
▽5月31日 日テレが調査結果を公表
▽6月3日 小学館が調査報告書と映像化指針を発表