【甲子園】“美白王子”丸田 慶応107年ぶり日本一呼んだ!公式戦1号が夏決勝初の「初回表」弾

2023年08月24日 05:05

野球

【甲子園】“美白王子”丸田 慶応107年ぶり日本一呼んだ!公式戦1号が夏決勝初の「初回表」弾
<仙台育英・慶応>初回、先頭打者本塁打を放ち笑顔の慶応・丸田(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【第105回全国高校野球選手権記念大会最終日決勝   慶応8-2仙台育英 ( 2023年8月23日    甲子園 )】 世紀を超える扉をこじ開けた。決勝が行われ、慶応(神奈川)が史上7校目の夏連覇を目指した仙台育英(宮城)を8―2で下し、慶応普通部時代の1916年以来107年ぶりの優勝を飾った。「1番・中堅」の丸田湊斗外野手(3年)が、初回に決勝打となる右越え先頭打者本塁打。夏の甲子園史上初の決勝の初回表先頭弾から、打線が13安打で8得点を奪った。前回優勝は東京代表、豊中球場での第2回大会。歴史的な甲子園初優勝となった。
 97年の歴史を誇る慶応の応援歌が「若き血」だ。初回の攻撃時に奏でられる伝統のメロディー。大応援団の合唱に金属音が重なる。プレーボールからわずか58秒。丸田が内角低めのスライダーを右翼席へ運んだ。105回の歴史で史上初の夏の甲子園決勝初回表の先頭弾だった。

 「公式戦でのホームランは初めて。この日のために取っていたのかなと思いました。喜びが爆発するくらいうれしかった」

 得点時に歌われるのも「若き血」。丸田は「必ず1番で流れるので、ホームランを打って若き血を2回連続再生させたいと思っていた。3年間の最後の試合でできたのは幸せ」と右手を高く掲げた。1番の号砲から13安打8得点。夏連覇を狙った仙台育英の自慢の強力投手陣を粉砕した。

 今春選抜の初戦。仙台育英に6安打1点に抑えられ延長10回タイブレークで敗れた。丸田も4打数無安打。「悔しさしか残らなかった。練習から仙台育英に勝つことだけを考えてきた」。第1打席の先制弾に続き、2回1死二塁では3点目の右前適時打。5回2死二、三塁は、風にも流された飛球が中堅手の失策を誘い、2者が生還と4得点に絡んだ。前回優勝の第2回大会は豊中球場での開催。若き血よりも前の1916年以来107年ぶりに立った頂点は、甲子園での初優勝だった。語り継がれる快進撃の中心になった丸田は「ここを目標にしてきたので。KEIO日本一を達成できて本当にうれしい」と優勝の瞬間、涙を流した。

 自由な髪形でさっそうとグラウンドを駆け、自慢の強力打線が力を発揮して、歴史を塗り替えた慶応ボーイたち。“美白王子”として注目を集めたチームNo・1のイケメン丸田は「エンジョイベースボール」の象徴でもある。「たくさんのことが起こって…。刺激的な夏でした。世界中のどんな人よりも最高の夏でした」と快進撃の夏を振り返った。

 一時は中学で野球を終えようと考えた。慶応の自由な野球に出合って甲子園を夢見るようになり、野球人生が大きく変わった。「エンジョイベースボールは野球を楽しみ尽くすことだと思います。僕たちは楽しみ尽くせました」。4年ぶりに歓声が戻った聖地。今大会最多4万2100人の前で頂点に立ったのは、心から野球を楽しんだ「陸の王者」だった。(村井 樹)

 ◇丸田 湊斗(まるた・みなと)2005年(平17)4月25日生まれ、神奈川県出身の18歳。南舞岡小3年時に野球を始める。日限山中時代は横浜泉中央ボーイズに所属し2年夏と3年春に全国大会出場。慶応では2年春からベンチ入り。憧れの選手は阪神・近本。趣味はピアノ。50メートル走5秒9、遠投90メートル。1メートル74、73キロ。右投げ左打ち。

 ≪春の選抜決勝初回表弾は過去2人≫慶応の丸田が初回表に先頭打者本塁打。夏の甲子園での初回表の先頭打者弾は、19年桃谷惟吹(履正社)が霞ケ浦戦で放って以来20人目。過去、最も勝ち進んだ試合で打ったのは1922年田嶋豊次郎(和歌山中)、12年森友哉(大阪桐蔭)の準々決勝。決勝では丸田が初めてだ。なお、選抜決勝では82年佐藤公宏(PL学園)が二松学舎大付戦、17年藤原恭大(大阪桐蔭)が履正社戦で初回表先頭打者弾をマークしている。

 ≪神奈川代表としては初≫慶応は神奈川代表としては初めての優勝。神奈川県勢の夏の甲子園優勝は、15年の東海大相模以来8年ぶり8度目となった。夏8度目の優勝は、14度でトップの大阪に次いで愛知、和歌山と並ぶ2位タイに浮上。また、慶応は夏通算20勝目となった。

 ≪V最大ブランク大幅更新≫慶応が準優勝した1920年以来103年ぶりの決勝で、仙台育英を破り1916年以来107年ぶりの優勝を飾った。これまでの夏の甲子園の最大ブランク優勝は62年→16年の作新学院(栃木)の54年ぶりで、初めて100年を超える最大ブランクとなった。決勝進出自体もこれまでの最大ブランクだった37年→96年の熊本工(いずれも準優勝)の59年ぶりを大幅に更新した。

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